September 2010

September 12, 2010

福富町『シンジョウリャンタン』で雪蛤など 〜そして店名の謎〜

「そういえば最近ブログどうしたの?」と某友人に聞かれた。
「ああ、そういえば記事が更新されてないよねえ」と、ついつい答えてしまう。
書いてる本人がこういう他人事モードになってはイカンです。

まあやっぱり、今年の夏は暑すぎたんだと思う。
すっかりいろんな話が溜まりきってるんで、秋になったし少しは精出して、
たまには更新しなくっちゃよね、ととりあえず誓ってみる。

さて、クソ暑い最中に我が家で苦役が発生したので、再び無理やり召集される。
彼にしてみれば、赤紙をよこされるようなものらしい。

気の毒なので、せめて肉体だけは健康であるように、という願いをこめて、
福富町で漢方薬膳スープでもいただくことにする。
弟はともかくとして、あまりの暑気にワタシの胃がへばり気味だったのだ。
こういう時は、中国三千年の歴史にすがるのが正しいと思う。

シンジョウリャンタン100614 001

最近は看板に日本語で振り仮名が入った。
読めない店名を掲げていたのは、別に日本人客を拒否するためなどではなくて
単に「なんとなく」だったみたい。
外から見てもわかりやすい日本語メニューも、外に色々張り巡らされように
なったおかげで、ずいぶん入りやすい店になったはず。
まあ、日本語の振り仮名をよくよく見ると「?」がゼロではないにしても、
近隣エスニックウォーター系以外の、一般日本人男女だって歓迎光臨ですよ、
という意思表示があるのは嬉しいことだ。

ところで、この店名の由来。
普通に表記する段階から厳しいこのネーミング、やっぱり意味が気になって
いたのである。
とりあえずシンジョウが地名、リャンタンが薬膳スープ、みたいな意味?と
勝手に予測して自分なりにインターネットで調べてみたのだけれど、さっぱり
何も検索に引っかかってこない。
リャンタンはまだ「XXリャンタン」という店名で「健康によいスープ」が
売り物の店なんかがあるらしいから、大きく外れてもいないようなのだが、
「シンジョウ」がお手上げ。

こりゃイカン、誰かきちんと中国語をわかっている人に教えてもらおう・・・と
いうわけで、友達の中国専門家で現地在住生活も長い某氏に尋ねてみた。
ご関心ある向きは、記事末尾をご参照いただきたく。

さて、店に向かう道すがら「薬膳スープの店とかって、禁煙じゃないの?」と
得体の知れぬことを口走る我が弟に一瞬驚く。
はあなるほど、漢方とか薬膳とか=健康、自然、マクロビ的な連想になるのが
普通なのだろうな。
福富町の深夜営業中華が健康を謳うこと自体に、ある意味若干矛盾はあるかも
知らん。

大丈夫、この店の深夜前時間帯の主要客層は、右手に携帯、左手に煙草の
中国系その筋の人たちだから。禁煙とかありえないから。
体にいいモノを食べたいのは、不健康な人たちなんですよ。OK?

あ、でも、天井高いし、テーブル間もミチミチ詰まってないし、必要ならば
ちょっと離れた位置のテーブルもあるから、絶対禁煙主義の方が比較的煙害を
気にせず過ごせる店でもあると思うが。


シンジョウリャンタン くらげシンジョウリャンタン干し豆腐

弟リクエストでくらげ&干し豆腐とセロリの炒めもの。
味付けは「薄め」で指定。
そうしないと、この店の場合ちょっとしょっぱいことがある。
単にワタシがナメクジ体質なだけなのだが。

くらげは高級店の前菜なんかに出てくるものとは違って、ぶりっと非常に強い食感。いい店で食べる上品なクラゲも旨いが、こういう食べ応えはない。
何が違うのだろうな?

セロリと干し豆腐は、なんだか弟がミョーに愛している二大食材らしい。
干し豆腐は、いつぞや『京味居』で食べて以来、すっかりはまったそうだ。
普通世間の人は、このポソポソな食感を、むしろ嫌うと思うのだが、その辺は
やっぱり常人にないセンスをお持ちなんでしょう。
いや、まあカマワンよ。ワタシも好きではあるし。

シンジョウリャンタン100825 004

椎茸・ナツメ・蓮の実と豚のガツのスープ。
薄味だが滋味深い、素材のエッセンスが胃の腑に染み渡る味は相変わらず。
これが一杯500円かそこらで頼めるのだから、貴重な店だと思う。

シンジョウリャンタン100825 003

ここでワタシが一番好きなのは、このラム肉のスープ。
味わいは多少冬向けな内容に思えるが、ラムの旨味がスープに溶け込んで、
臭みはキッチリ殺されている。

みんな似たり寄ったりの味になりそうだが、実は一品ごとに出汁も旨味も
それぞれ微妙に異なる。
きちんと手間ひまがかかった、この店のスープはいつ食べてもウマイ♪
ちゃちなカッコだけの健康自然食なんて、どっかイケ馬鹿、とうっかり思う。


シンジョウリャンタン100825 005

さて、最近メニューがまた新しくなっていて、夏向けということなのだか、
冷たい甘いスープが出ていた。
雪蛤と白キクラゲにココナッツミルク、クコや杏仁なんかが入ったもの。

雪蛤(ハスモとかシュッカウとか呼ばれている)は、香港で食べて味をしめた
代物だった。
帰国後探して、都内でも一回見つけて食べたことがある。
滋養とコラーゲンにあふれた素材だ。
こういうメニューがどーんと出るあたり、福富町的水色桃色世界の需要を
堅実に反映しとるな。素晴らしい♪

喜んで注文するワタシに、弟が尋ねた「なにこの雪蛤って?海鮮?」
「蛙の卵巣の脂肪らしいよ」
「・・・いまなんと・・・?」
「蛙の卵巣の・・・」
「オレ、カエル大嫌いなの。うえ〜気持ちワリイ」

我が弟にしては珍しく、ヘタレたことを呟いているのだが、冗句の類と見做し
特に気に留めずに注文をした。

出てきたものは、ひんやりとよく冷やされた、うっすらと甘い糖水に雪蛤や
白キクラゲが山ほど浮いたデザート系のスープ。
ココナッツミルクに杏仁なんかも入っているのだろうか?
クコの実の赤い色がキレイなアクセントだ。

甘いものが結局特に好きではないワタシなのだが、こういうものだけは別。
一口、また一口と啜るうち、体がすうっと冷えて、籠もった熱がとれるような
気がする。
弟にも勧めたら「うまいな。ううむ。イイ感じだ」と嬉しそうに食べた。
二人分のデザートにちょうどいいくらいの量があった。

「ところでコレって何だっけ?」
「蛙の卵巣脂肪」
「せっかく忘れてたのに、思いださせんなよ!」
「いやだから、いわゆるカエルそのものっていうわけじゃなくって、山奥に
生息する特殊な蛙の卵管のまわりについた脂肪を乾物にした、漢方の叡智の
結集された・・・」
「やめねえか!」
「美味しいって食べてたじゃん。フツーのプヨプヨ物質じゃん」
「やめろー!!」

正確には東北は吉林省長白山にのみ生息する、中国林蛙という種で、これが
真冬に冬眠しているのを捕まえて、来るべき春の繁殖に備えて雌のカエルが
卵管のまわりに蓄えているタンパク質やアミノ酸豊富な脂肪を、乾物にして
漢方薬膳的珍味として珍重されている、ということだ。
中国人て偉大だね。嗚呼。

弟は、とりあえず食べる瞬間だけ、便宜上記憶喪失に陥ったらしい。
実に便利な体質なのである。
たぶん、次に店にいったらまた忘れていると思う。
心配するな、何度でも食べさせてあげよう。

シンジョウリャンタン100825 007シンジョウリャンタン100825 006

薬膳酒が面白そうなので、二種類頼んでみた。
弟はなんだか「清心美容酒」に拘ったのだが、ワタシとしては翌日も苦役が
たんまりとあったので「疲労回復酒」とか「滋養強壮酒」とかを飲ませたい。
弟の作業効率アップのために。

結局滋養強壮と清心美容の二種に。
清心美容酒は要するに「クコ酒」なのだそうだが、これがさっぱりした甘さで
ウマカッタ。
滋養強壮なんかは、ハッキリと漢方薬膳な味わい。
ワタシはこういうのも好きだけど、一般的には要注意系かも・・・へへへ。

シンジョウリャンタン100825 008

二人ともこのごろ飲みすぎなのを反省して食後のウコン茶も。
ポットにたっぷりと出てくる。
中身を見たら、細かく砕いたウコンとクコの実がガッツリと一掴み分くらい
入っていた。プラス不揃いな氷砂糖。

お茶が程よく出た頃合で、箸を急須に突っ込んでクコの実をワシワシ食べる。
どうせ捨てるなら、もったいないしさ・・・いいのか、こんなことして?


参考までにここは、お一人様向けスープ定食千円也もある。

シンジョウリャンタン100614 008
シンジョウリャンタン100614 005

別の日に食べたもの。落花生、椎茸とスペアリブのスープに、青菜炒め、
漬物、ご飯にデザート付き。
一人用の夕食としては上出来なセット。
スープ以外の定食も各種あるし、最近はランチ営業もやっている。
一人でふらっと立ち寄りやすい価格帯と内容は、この辺りでは貴重なものだ。

しんじょうりゃんたん( 伊勢佐木長者町 / 台湾料理 )
★★★★4.0
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ところで弟よ、あの晩二人で「クコってどんな植物だっけ?」などと悩んだが、
実はこんな感じで生えているらしい
「百日紅とか南天みたいな感じ・・・?」というワタシのイメージは、実はそうは
間違っていなかったみたい。ナス科だから種類は違うのだけれどさ。



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それにしても長い夏だった。さすがにもう秋だよねそうですね。


備考:
店名の意味について、以下引用。
 ↓

「しんじょう」は「きんじょう」と日本では読むらしい。
この字は元々金属がふれあうチャラチャラ・キンキンという音や、金がきらきら輝く様を表したものといわれていて、今では富み栄えるという意味で、屋号や人名によく使われるという用法しかないみたい。

つまり、栄えているお店という縁起物の名前に過ぎないと言うこと。
百度あたりで調べるといろいろな店や企業の名前がぞろぞろ出てくる。

「りゃん」という文字は、日本語では「せい」と読むらしいのだけど、中国語関連でしか出てこない字ではないかと。
北京語系ではほとんど使われているのを見たことがなく、もっぱら広東系(香港含む)で使われている。
元々、眉目麗しい・きれいなという見た目を誉める形容詞で、香港の屋台で売られている怪しい雑誌や写真集などにはよくこの字が見受けられる。
つまり�腟女で美女を表すのね。

湯は風呂の湯ではなくもちろんスープのことだから、すばらしいスープとでも訳すのだろうか。

だからこの屋号は料理を表すものではなく、ごく当たり前の中国人の発想で、縁起のいい屋号をつけているというのがたぶん正解。

 ↑
引用以上。
さすがは専門家である。
イマウラシマンくん、ありがとう♪
持つべきものは優れた友なりよ。
感謝多謝。

あ、そうそう、ついでにまたググってみたら「�腟湯工房飲食有限公司」という
会社の英語名が"Smartsoup Catering Limited"となっていた。
はあ、なるほど、と改めて納得した。はあ、なるほど。



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ところで「湯」に関する傑作漫画といったらコレであろう。
ローマ時代の浴場設計技師が日本の銭湯なんかにタイムスリップする話。
二巻ももうすぐ出るよん♪

arima0831 at 00:50|Permalinkこのエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote 日ノ出町・伊勢佐木町 | 中華料理(2008.6~2010.12)