January 2018

January 02, 2018

2017年に読んだ本 〜翻訳小説編~

一年が過ぎて年末楽しいのは、一年間何を読んだか思い出して反芻する時。
今年もだらだらと手元を通りすぎて行った、ざっくり200冊ほどの本たちを思い起こしながらビールなんか飲む。「正月だから」ということで、エビスの金缶。これぞ活字中毒者の小さな幸せ。

一応一年を振り返るなら、夏にロンドンに行ったことが一つ。
そしてもう一つ、なんといっても横浜DeNAベイスターズの日本シリーズ進出は大事件だった。
この数年順調に強くなってはいたのだが、それでもハマスタでの日本シリーズ開催は、ワタシも含めたあらゆる横浜の民の予想を超えていた。たぶん数年前のワタシに「三年後にはハマスタで日本シリーズに参戦していますよ」と誰かが予言したら、夢を持つのは結構だけど、このヒトちょっと妄想キツイよな、と笑ってスルーしたことだろう。

忘れもしない、クライマックスシリーズ最終戦、広島に見事勝利を収めたシーンをハマスタのパブリック・ビューイングで見届けたあの夜。
滂沱の涙とともに万歳を繰り返しながら
「これって要するに、次は日本シリーズってことか?」
「え、ナニそれ、まさかハマスタでまた野球が見られるとか、そういうこと・・・?」
みたいなつぶやきが周囲一帯で漏れていたのである。
とにかく現実離れした話だったのだ。
願い続ければ、いつかは叶う日が来る、みたいなファンタジーがそのまま現実に来たような感じ。
小説世界を実体験しているようなもので、本当に夢のような秋を過ごした。
こちらに全力で突っ込んでいった結果、ものすごく体力を消耗したが実に楽しかったナ。

そんなわけで、終戦後一か月ほどは、ほぼ使い物にならずゾンビ化。
しかも秋以降の野球シーズン中は、まるっきり本が進まなかったから重症だ。
やはり読書というのは、脳の認知機能の一定領域を必要とするものだった、という当たり前のことに気付いたのは、11月下旬に来てサクサク本が捗り始めた時。
人間てそんなものなんだナ。ま、そりゃあそうか。

で、今年読んだ翻訳小説ベストテン。
どこかに感想を書いたものは、書名にリンクが張ってあるので、そちらを参照いただきたく。
実は今年はナンダカンダと公私でオーバーヒート気味だったので、11月末までほぼ感想らしい感想がまとまっていないのだが。


1. 『アメリカーナ』 チママンダ・ンゴツィ・アディーチェ

2016年刊行だが、これはもっと早く読みたかった。私的オールタイム・ベスト『半分のぼった黄色い太陽』のアディーチェの最新作だが、こちらはもっと現代的なメロドラマ。肌の色、階級、西洋社会の矛盾などに深く切り込みながら、あくまでも切ないすれ違う男と女の恋の行方を描く話。読み終わるのが惜しい物語だった。読んだのはほぼ一年前だが、むしろ時間がたつほど余韻が深まる。
まだまだ寡作な作家なのだが、いつかは是非ノーベル賞を取ってほしいと切に願っていたりする。来年はアフリカ枠が来る、とかいう下馬評もあるのだが・・・?

アメリカーナ
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
河出書房新社
2016-10-25



2. 『その犬の歩むところ』 ボストン・テラン
台北の通関で立ったまま読みながら、あふれ出そうになる涙を必死にとどめる羽目に落ちた一冊。犬小説の金字塔。本年刊行のものとしては、これがベストとなった。

その犬の歩むところ (文春文庫)
ボストン テラン
文藝春秋
2017-06-08



3. 『守備の極意』 チャド・ハーバック

アメリカの大学野球を舞台にした、瑞々しい青春野球小説。この数年ほど枕元の積読山で塩漬けになっていたのだが、なんとなく読んだら素晴らしい話だった。もっと早く読め!と自分を蹴り飛ばしたい気持ち。きっとこんな宝がまだまだ埋まっているに違いないのだが。

守備の極意(上)
チャド ハーバック
早川書房
2013-11-22



4. 『幸せなひとりぼっち』 フレドリック・バックマン

昨年同名の映画が公開された一作。映画に行きたいからまず読もう、と言いながら、映画のほうは見逃してしまった。孤独で偏屈な老人と近所の移民たちが交流を深めていく話で、わりとよくある背景だとは思うけれど、なんだか泣ける良い話だった。

幸せなひとりぼっち (ハヤカワ文庫NV)
フレドリック バックマン
早川書房
2016-10-21



5. 『年月日』  閻連科

我が積読山の大きな地層を成している、中国のノーベル賞作家 閻連科の小品。この作家に関しては、あと二冊長大な小説が後に控えているのだが、まずは・・・と手を伸ばしたらこれが実によかった。村人が捨て去った、砂漠の果てにある村に取り残された老人と老犬の話。不思議な寓話的世界だが、とぼけた語り口が実によい。他のも早く読まなきゃなあ。

年月日
閻連科
白水社
2016-11-10



6. 『マプチェの女』 カリル・フェレ

翻訳ミステリー大賞の候補作に上がっていたので読んだのだが、この出会いには感謝。
アルゼンチンの暗い歴史を克明に描いて、中々辛い展開もあるのだが、滾るような熱い暗さに引きずり込まれながら読んだ。必ずしも楽しくはないが後味は悪くない話で非常に面白かった。




7. 『東の果て、夜へ』 ビル・ビバリー

人を殺しにカリフォルニアに向かう、黒人の少年の成長譚。ロード・ノベル的な展開が楽しい。新人作家の作品ということで、これは是非続編が読みたい。




8. 『ノーノー・ボーイ』 ジョン・オカダ

言わずと知れた移民文学の金字塔。2016年刊行の新訳ということで手に取るきっかけになった。戦後の日系アメリカ人の苦難や生活ぶりを克明に描いた作品。これももっと前に読んでおくべき小説だったなと反省。

ノーノー・ボーイ
ジョン オカダ
旬報社
2016-12-14



9. 『13・67』 陳浩基

読んだのは11月下旬で、このころ野球が終わって正気を取り戻したので感想がまとまっている。リンク参照。
香港の社会背景を戦後から現在まで追いながら、警察小説と本格推理も楽しめる二度美味しい作品。香港ノワール映画の匂いも漂う。とりあえず香港の情景がいろいろと楽しかった。

13・67
陳 浩基
文藝春秋
2017-09-30




10. 『アメリカン・ウォー』 オマル・エルアッカド

21世紀末ごろのアメリカが舞台の近未来SF。SFとは思えない現実的な重みが、読んでいて実に辛い。目が離せないまま最後まで一気に読んだ。書いたのはエジプト生まれの作家で、ちょっとしたディテールが面白かった。詳細はリンク参照。

アメリカン・ウォー(上) (新潮文庫)
オマル エル=アッカド
新潮社
2017-08-27





国産小説については、また別途!

今年もまだ面白そうな小説が出るので、楽しみにして待ちたい。



arima0831 at 01:43|PermalinkComments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote 好きな本 | 本の紹介