February 2018

February 12, 2018

2017年に読んだ本 〜国産小説編~

もう二月。バレンタインデーも目前。

いい加減書いておかないと、去年の話なんて考えられなくなる。
もう考えたくないから流した年もあったんだけど、そうすると本当に「あの年ナニ読んだっけ」の記録が無くなって案外不自由だと最近思うので、とりあえず書いとこう。

そもそも何故か毎年熱が入るのは翻訳小説の方だ。
国産ものに関しても数はそれなりに読んでいるはずなのに、なんだかとにかく打率が低い。
今年は特にその傾向が強かった。

今年に限っては、ベイスターズで言えば乙坂智みたいな感じ。悪くないけど、ここで一発!がなかなか出ない。いや実は最初下園と書こうとしたが(好きだからな)、それだともう引退だし、じゃあ石川 雄洋、とも思ったが、二軍に塩漬けだった今期を考えるとそこまでではなかろうと思えるし、すると「あと一発の怖さがコンスタントに欲しい」という願いを込めて、やっぱ乙坂でしょう…つーかなんつーか。

本来舶来ものが好きだから今の仕事なんだ、というのは間違いないし、そもそも翻訳小説に関しては、よく考えてみりゃあ「死んだ父親がマニアだった」という因子が大きい。そこに最近イマサラ気が付いた。特にアクション冒険小説系。
ワタシが高校生だったころから、たまにホイと自分の読んだジャック・ヒギンズやギャビン・ライアルなんかをくれたりしてはいたのだが、地方大学に行って東京を離れてからは、段ボール一杯のアクション冒険スパイ小説の類が、定期的に突然送り付けられてくるようになった。
当時すでに活字中毒だったから、本と名が付けばなんでも読んでいたワタシ。輝くようなハードカバーの新刊小説など、恐れ多くて本屋でそっと表紙を撫でるのが関の山だった身には、なんとも有難いことではあった。基本突然突発型御厚意(?)ではあったにせよ。

もうひとつ分析すると、翻訳小説は版元を絞り込みやすいし、インターネットでいいサイトもあったりするので、新しいものに網を張りやすいのだ。別に新しい本を常に追いかけるのが好きなわけではないんだけれど、新しいものをこまめに読んでおく方が、情報収集が簡単で高打率が期待できるから、いつの間にか自然とそうなった。視力と体力に恵まれていた若いころは気にも留めなかったが、ここに「寿命」というタームまで視野に入ってくると、無駄は極力省きたい、と強力に思うようになってくるので、最近は案外真剣である。五十代の半ばに来て、とりあえず老眼鏡なしで文庫本がまだ読めているのは有難いことだが、これがいつまで続くのかは神のみぞ知る、なのだし。

で、新刊情報を図書館の新着情報とあわせて常時ちょこまか洗う習慣をつけたら、コスパと打率を共存させて、自宅のまことに限られた図書スペースも圧迫されないで済むようになった。よしよし。閑人め、と笑いたいものは笑うがよろしい。
だから翻訳小説に関しては、取りこぼし無しとは言わぬまでも、そこそこイイ感じで拾えているのだろう。

一方で国産小説に関しては、その辺を今ひとつ自分の中でシステム化できていないんだろうな、と最近思う。
だから今年の目標は、国産系に効率の良い網を張るメソードを確立すること、としようかな。
ラミレス監督だって言っているではないか、データの読み込みが先ずは全ての基本だと!

で、以下が2017年のリスト。
とりあえず、小説とは書いたが実用書・新書・ノンフィクションの類もすべて含めた国産もの、ということで十位まで。感想が別サイトにあるものは書籍名のURL参照。
あ、買いたい人は書影からドウゾ。するとワタシに投げ銭が来ます(笑)。


1.『スウィングしなけりゃ意味がない』 佐藤亜紀 (KADOKAWA) 2017
ナチス政権下の不良青年らとジャズと青春の物語。通り一遍の戦禍とナチスの話にならないのがいい。楽しくもほろ苦い青春小説として楽しく読んだ。これは是非翻訳してドイツで出版してほしい!





2.『蜜蜂と遠雷』 恩田陸 (幻冬舎) 2016
行間から音が響き渡る、素晴らしい音楽小説。夢中で読み耽った。

蜜蜂と遠雷
恩田 陸
幻冬舎
2016-09-23



3.『東京自叙伝』 奥泉 光 (集英社) 2014
東京の歴史を怪しい地霊が語りつつ、なぜか未来まで・・・。積読山から掘り出した一冊。奇書であり、相変らずヘンな捻りと味わいに満ちている。しかも長い。でもそれが苦にならない。何故なのかは自分でもよくわからないけど、それが相性ってもんなのかなあ(笑)。

東京自叙伝 (集英社文庫)
奥泉 光
集英社
2017-05-19




4.『プロテスタンティズム』 深井智朗 (中公新書) 2017
ルターの宗教改革から始めて、現代のプロテスタンティズムに至るまでの社会的また思想的な背景を丁寧に解き明かした一冊。今迄どうもスッキリ分からなかったことが色々と腑に落ちた。思想の背景には同時代の政治や社会情勢があるのだ、という、要は当然の話だったのだけれど。ちょっと目からうろこ。





5.『お春』 橋本治 (中央公論新社) 2016
読んだ後になるほど、不思議な余韻がじわじわ来る話だった。江戸の世話物の現代語訳かと思っていたら、まったくの創作だと知って驚いた。

お春
橋本 治
中央公論新社
2016-07-06




6.『新・所得倍増論』 デービッド・アトキンソン(東洋経済新報社)2016
「日本のGDPを上げたければ、日本の女性の社会進出をもっと進めよ」という論が新鮮。専業主婦なんて税金の無駄遣い、ということなのだが、そこが論理的に説明してある。別に『世界一訪れたい日本のつくりかた』という『新・観光立国論』の続編にあたるものも出版。今月下旬には『新・生産性立国論』が出るそうです。このヒトの提言は、単にあれがダメこれがダメ系の在日外人愚痴話ではなくて、具体的な提言が説得力をもって書かれているから好き。できたら日本の観光ガイドがあまりに冷遇されている問題を取り扱ってほしいものなのだけれど。

デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論
デービッド アトキンソン
東洋経済新報社
2016-12-09



世界一訪れたい日本のつくりかた―新・観光立国論【実践編】
デービッド・アトキンソン
東洋経済新報社
2017-07-07




7.『警視庁生きものがかり』 福原秀一郎 (講談社) 2017
日本内外で輸入生物の違法取り扱いを取り締まる課が警視庁にあって・・・というノンフィクション。どこかに同じような体温の話が…と思ったら『パンダの飼い方』などの白瀬さんと親交のある方だったとやらで、なんだかナットク(笑)。





8.『太閤私記』 花村萬月 (講談社) 2017
普通の小説だと確実に胃もたれを呼ぶ花村萬月の、いろいろな意味でのコッテリねっとり生臭調@R18系が、軍記ものになると案外しっくりきて、意外や楽しく読めてしまった。前編は『信長私記』。続巻も近日刊行予定との由。

太閤私記
花村 萬月
講談社
2017-10-18




9.『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方』 井齋 偉矢 (SB新書) 2014
陰陽五行論なんかは基本的に後付けだから、とりあえず効能で使えば漢方は即効でいいぞ!という、なんとも清々しい理論。この方のこのシリーズを三冊ほど読んだが、わかりやすくてよかったな。昨今とみに漢方マニア化してるワタシには面白い本でした。





10.『白い紙/サラム』 シリン・ネザマフィ (文藝春秋) 2009
イラン人の女性作家が日本語で書いた小説集。イラン・イラク戦争当時のイランを背景に、男女の自由恋愛など先ず許されない環境の中、十代の少年と少女がそっとお互いの気持ちを寄り添わせていく情景がとても瑞々しく切ない。

白い紙/サラム
シリン・ネザマフィ
文藝春秋
2009-08-07




さて、今年も面白い本をたくさん読めますように。


PS:
ロンドン話は、あと数回くらいはなんとか…と思っているんだけれどどうなることやら…。



arima0831 at 01:01|PermalinkComments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote 本の紹介 | 好きな本