December 18, 2007

『尾花』にでかける 〜まったりと「う」な日曜の午後〜

尾花
最寄駅:三ノ輪橋 / 三ノ輪 / 南千住
料理:うなぎ
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):5,000円〜10,000円
用途:昼食


特に大して気にかけていたわけでもないが、向こうからやけに熱心に擦り寄られたりして、しょうがないからちょっと口説いた途端に振られてしまう。
すると急に未練が募る、なんて話は世の中よくある、のではないかと思う。

そうなのだ。
最近そんなことが起きたのだ。

尾花

このようにしてっ!!



そして、再びオットが不在となる。
オット不在とくれば登場するのが、酒池肉林の友アパ経だ。
別にオットが居ても居なくても、要するに会ってメシを喰えばいいだけの話なのだが、なまじ若いころカイロ時代を一緒に過ごしたもので「帰りの電車の時間」なんぞが気になるとどうも腰のすわりが悪い。
そんなわけで、臨時独身状態になると都内出撃計画が出る次第。

とにもかくにもとりあえず、そういうわけ(?)で『尾花』に向かう。
12月にしては陽差し明るく柔らかい、とある日曜日の昼下がり。
以前この店の隣近所地帯に住んでいたことのあるアパ経の秘策あり。
「尾花は開店時に並んで待つより昼下がりやや早めを狙え」だ。
さすがだぞ、アパ経。
持つべきものは知恵のある友だ。
褒めてつかわす。

なにしろ二人とも一度はすっかりエジプト人化しているので、ランチが三時四時などアタリマエのことなのである。
そして、この店は週末の午後は通し営業。
正しい日本人の姿としては、やはりお昼御飯は二時頃までには遅くとも食べ終わるものなので、この隙間を狙ってマッタリ行こう、という作戦なのだった。

尚、遅くすればいいというものでもなくて、この店の場合「問答無用で売り切れ仕舞い」という鉄則があるので、この遅さ加減が2時半ごろ狙い、ということらしい。

しかし行ったらそれでも十人ほどは待っていた。
並んで待つのは死ぬほどキライだが、この店の玄関周りはなんともたまらん素敵な風情。竹のベンチにおとなしく腰掛けて、空気感と併せて辺り一面にたちこめる「鰻の匂い」を胸いっぱい楽しむことにする。
待つ間にケダモノと化す食欲。もうタマラン。

ちょっと退屈したのでワタシを挑発した張本人に「並んでるよう」とメールを出すと「たったの十人かよっ!くそ」と妬みのこもったメール返信あり。
もっと激しく並ぶものらしい。ふうん、そうなんだ。

そう待たずに案内された店内は、広々とした天井高い座敷一面に「う」な空気が満ちていた。ますます素敵なのである。
片隅の席に二人陣取って、うざくとう巻きにビールを頼む。


うざくうざく一切れで、思わず悶絶した。
カリリと微かな歯応えに続いて
ふっくらとした舌触りの脂が蕩ける。
菊の花と胡瓜が添えられて
ちょっと甘目の酢がかかっているのだが
これがなんともいい塩梅なのだ。嗚呼。

いぬわんが「絶対にこれは喰えよ」としつこく念を押すわけだな。

普段は「秘技ナイアガラ」だの「イグアス」だのと、友情を捨てた分捕りあいが始まるものだが、アパ経もワタシも、あまりに旨くてグウの音も出ないからチョキを出して勝利を確かめるような静謐な一瞬となる。
いいんだ、それで。

う巻きビールから熱燗へ変えたころ
う巻き登場!
叩いた鰻の甘辛いタレが
ほっくりとした玉子焼きにくるまって
これまたしみじみ心和む味。

う巻き2うっふふふふふ。
玉子と相性が良いのは頭でわかっているが
これをちょびちょびやっつけながら
のどやかに熱燗を啜ると
これはもう至福の冬の日の午後。

いぬわんが「絶対にこれは喰えよ」としつこく念を押すわけだ。
こういう意見には素直に従っておくのが正解というものだな。
うなうな。

白焼き白焼き2





白焼きもやってきた。
一人で来ようと思えば来られる店ではあるが、こういうことをするにはやっぱり連れが必要だ。
ワタシとアパ経を繋ぐものは、実は友情などという美しいもんではなくて、単なる喰い意地なんである。まあ、いいんだ、それで。

白焼きはふっくらと柔らかい。
もう少し硬いほうがまあ好みではあるのが、重箱の隅をつつくような無粋なことを言ったらばちが当たる。
鰻でなにが好きといえば白焼きだ。
月+旨のニクヅキウマサが、これほどしみじみ胃の腑にしみる料理もないよねえ〜、といつの間にか鰻に変わった姿を「う」の字にくねらせながら、のったりまったりする二人。

実は「ダレが尻尾のほうの半身をとるか」で軽く揉めたことは揉めたのだが、平和裏に「真ん中で均等に分ける」という案が採決されたので、穏やかな午後は守られたのであった。

うな重「せ〜のぉ!」と重箱の蓋を開ければ
甘く香ばしい匂いが柔らかくたちのぼる。
あああああ、もうどうにでもしてちょうだい
という気分になってしまう。
身は柔らかく、口の中でほろほろ蕩ける。


実は白焼きと同時に持ってこられたので、うにゃ、と軽く落胆したが、まあそれでもいいさと思える。
このお店、鰻も確かに旨いが、何よりのご馳走は「この空気」だ。
このためだけに休みの午後を費やす価値があると思う。
我が愛する荻窪『安斎』とどっちが・・・なんて、野暮な話だよ。

かくしてただでさえ肥えた体に脂までをもしっかりと乗せた鰻人類二名は、
午後の続きを浅草で過ごすべくニョロニョロと移動するのであった。

(つづく)


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鰻の「う」の字はぁ〜、はぁ「う」な感じぃ〜(呆)


東京五つ星の鰻と天麩羅


arima0831 at 18:03│Comments(13)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote うなぎ | その他東京

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1. 尾花の鰻  [ 犬悔い ]   December 18, 2007 18:17
うなぎというだけでウマい。 しかもやっぱりうざく、うまき、白焼き、かば焼き。 うなぎはニッポン料理に限る、と世界中だれもが思うと思う。 フランスとか中国とかでうな丼チェー...

この記事へのコメント

13. Posted by アリーマ   December 20, 2007 10:50
>Gingerさん
なんと!お近くでしたか!!
それはなんと贅沢な〜。

安斎も、開店してから確か10年くらいは「行ってから待つ」スタイルだったような記憶があります。
安斎は実は昔の実家に一番近い鰻屋さんで、本当によく通いました。

実は「鰻をぼけーっと待ちながら酒飲む」というパターンが結構好きなので、最近の「予約時間に合わせて調整&時間厳守制」になっちゃった安斎はちょっと寂しい・・・でも、鰻はあそこが一番ウマイとかたくなに思っているのですけど。

でも、安斎ファンの方にコメントいただけるとウレシ♪

>ヌシさん

ここはお嬢でもつれて、お二人様の週末午後などオススメですから、年越しても良いのでは?
一人だとさすがに、うざくとう巻きまでは厳しいし・・・この二品は外せないよー。
12. Posted by 小径のヌシ(^−^)   December 20, 2007 08:10
昨日行ってしまおうかと真剣に悩んでしまった…
ただ時間帯があわない(予想店着時間14時半)のと
これからの時期を考えて多少懐具合が淋しいのとで
あえなく断念…
うん。来年こそ行ってやるぅぅ〜
11. Posted by Ginger   December 20, 2007 02:40
昔のおうちから駅2つ
嫌々ながらオトナに良く連れられて行ったのは子供Gingerです
”どうせ大勢並ぶんだから、ある程度先回りして作ってよぅ”
と子供Gingerながらにいつも思ってました
並ばないで良くて、20分くらいで出てくるならまた行きたいなぁです

なので、ホントに野暮天な話ですが、並ばせて美味しいより、無愛想でも美味しい安齋に1票です
10. Posted by アリーマ   December 19, 2007 16:51
にっきさん

貴女には目下、神(何の神であれ)より与えらりし崇高な使命があります。ウチの今年の分ももちろんですが、来年のシュトーレンのためにもこの週を乗り切っていただかねばっ!!(→いまここで言うなっ!と叱られそうだが、既に来年分のシュトーレン予約済みとみなしておりますんで、よろしくどうぞ)。

のたうつ鰻の姿を光に導くエナジーに昇華させて、いざ進め峠はあと数日ですっ!

でも、にっきさんにお写真褒められると照れちゃうなあ・・・何しろ自他共に認める横浜屈指のウルトラ駄目写真ブログなんで・・・(嬉)
9. Posted by にっき   December 19, 2007 07:14
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・。
美味しそうだ、旨そうだ。
うなぎ、うなぎ、うなぎ。
いま、それどころじゃないのに、頭の中を鰻がのたうちまわっている。
どうしてくれるんだにゃぁ。

「うまき」のお写真は特に臨場感あふれていてアパ経さんの「上手!」というご意見にウムウムと同意しております。
8. Posted by アリーマ   December 19, 2007 01:05
アパ経さま

お写真上手って・・・このありがたきお言葉を目にして、キーボードに突っ伏している方もおられようが。でもアリガトウ。

観光客が暢気に群れつどうヴィクトリアの滝であったろうか。しかし、本当にあの雰囲気は和んだよ。ご案内、ありがとう。
空気までがウマイ名店でした。
またいこうにゃあ。
7. Posted by アリーマ   December 19, 2007 00:52
タコさん

いや〜、ステキなお店ですね〜。
ウマイ鰻を食べる以上の「なにか」がここにあります。シビレました。
実は三河島を通り過ぎたのに気付いて、ご紹介のあった生肉モツ肉のお店のことを思い出して教えていただいたのですが、別のところに流れてしまいました。隣の駅だったのね。でも、尾花は晴れた日の午後にまたマッタリ出かけたいです。

今度近くに行くときには、是非是非遊んでくださいましまし。
6. Posted by アパート経営者   December 19, 2007 00:52
いやいや、うまかったねえ。お写真上手なんで
ほんとにうまいもん食った!って感じがしますです。
あれだけうまくて雰囲気まったりだと、殺伐とした
秘技のあれこれをかける気が失せますな。
5. Posted by タコ   December 19, 2007 00:03
わーい!アリーマさんの尾花録を楽しみにしてました!
で、また食べたくなった!!!!
上でいぬわんさんもおっしゃってるように、代替不可能と思わせるところが尾花の凄さだと思います、ホント。
次回は是非、我が北千住か三河島・山田屋とセットでどうぞ。呼ばれなくてもお供しますので。
いずれも「近くにあったら来るかもね」くらいのオススメ度ではありますが。
4. Posted by アリーマ   December 18, 2007 20:51
飽きるまで行ってみたい・・・(羨)
3. Posted by いぬわん   December 18, 2007 20:36
十分飽きて松(´д`)
2. Posted by アリーマ   December 18, 2007 20:07
いぬわんくん

鰻単体の料理、という意味では、好みの問題やら諸々の薀蓄がぶちまかりあっていろいろ意見はあるようだし、白焼きと蒲焼は正直『安斎』に軍配ではあるが(単に喰いなれているだけ。好みの問題ですね)、あの店全体としてスバラシイのひとこと。
実は20年くらい前にも友達とぞろぞろ行ったことがあるけど、あの時はもっとわちゃわちゃしていたような気がするが。子供の頃に亡父がオミヤをたまに持ってきてくれたりもしてる。で、数十年間、味が記憶とぶれない店って怖いくらいすごいと思います。あそこは鰻の聖地だ。また折を見て是非巡礼に出かけやう!

エイトのメニューは、ただいま何割踏破なのだろうか?(しかしよく飽きないね)
1. Posted by いぬわん   December 18, 2007 18:15
うわああああああああああああああああ
あかんあかんあかんあかんわあああああああ!
尾花喰いたいいいいい!
尾花じゃないとダメなんでつ!
他に代替不可能、という点で尾花はスゴイ思う!
でも、今夜も・・・・・


中国茶房エイトに予約がああああああああああああああああああああああああ嗚呼!!

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