September 09, 2008

野毛『だるま寿司』のステキな危うさ?  〜たまには寿司でも喰いに行くのだ 其の一〜

「寿司なんか食べるんですか?」といわれたことがある。
どうもワタシ、強烈な肉食イメージがあるらしい。
違います。
魚も好きです。
要するに雑食なんですけれどね。なんでも喰う。

お寿司さんが一番楽しかったのは、父に連れられて好きなものを好きなだけ食べていた子供のころの話だ。

長じて学生のころは小樽に何度か出かけたが、見るからに学生だし
昼間を狙って出かけて酒は飲まない、という作戦だったので
お好みで喰い倒しても一人3千円から。
高くても5000円を越えたことはなかったと思う。
当時にすればそれでも身に過ぎた贅沢だったけれど。

「若い女の子だけど飲みっぷり喰いっぷりがいい」と喜ばれるボーナスもあった。
しかも北海道の人は学生に甘い。少なくとも当時はそうだった。

原則若さに未練などほとんどないのだが、元気にたくさん喰うと安くなるマジックが
効かないことを、骨身と財布に感じて若さを懐かしむことがある。
飲みっぷり喰いっぷりが上がるほど勘定も上がるようになった中年真っ盛り。
オトナになるって、こういうことなのよね・・・うにゃあ。

寿司屋。
いいトシになってから行くと、厳しくオトナ度を試される場だ。
物心両面で。嗚呼。
この厳しさが面倒くさいので、ついつい足が遠のいてしまうのではあるが
しかしそれでもたまには美味しいお寿司を食べたいよう!という衝動がこみ上げる。

寿司屋は馴染みのところに限るはずだが、それには店と馴染みにならねばならん。
だからほどほどに美味しくて、職人さんが感じよくて、ビクビクせずに飲んで食べて
ちょっと豪華な夕食程度の値段・・・という店を最近結構真剣に探しているのだが、
これが案外高いハードルなのである。

ネタも仕事もステキだが、握りを食べた瞬間シャリの硬さにがっくりきてみたり
ネタも仕事もステキで握りもなかなかよかったが、勘定がきて倒れそうになったり
ネタも仕事もステキで握りなどパーフェクトでしかも安くて、
ああいいお店だなと目を潤ませていたら、その月のうちに閉店してしまったり・・・

最後の店など、これぞマイドリーム寿司屋!だったのに悲しいことだ。

はっきり言ってメンドクセエことこの上ないが、しかしどこかの街の片隅で
ひっそり待っていてくれるどこかが、きっとあるはず・・・と信じて
果敢なタックルを繰り返すワタシとオット。

モノは魚介とはいえ状況的に「肉弾戦」となりがちなので、景気付けは欲しいけど
玉砕しても「あはは」と笑って帰ってこられる精神状態の休日で
しかも、お手元不如意でないタイミングに限るのは言うまでもないので
そうしょっちゅうは出撃できないが。

こんなことに悩まず「マイ寿司屋」で楽しいひとときを過ごせる大人な方は
どうぞ鼻で笑ってやってちょうだい、と開き直って寿司屋突撃レポート其の一。
其の二は未定、なんですが。


だるま寿司何もかもがみっちり密集しているような野毛。
その一角に突然開けた駐車場地帯がある。
それだけなら何の不思議もないが
なぜか抜け残った歯のように
一軒寿司屋が立っている。
本当に、建っているというよりも
「立っている」という感じ。

なんだか寿司屋の書き割りのように見えるけれど、本当に営業中の寿司屋らしい。
看板には『だるま寿司』と書いてある。
読めたわけではなくて、店の名前と場所が一致しただけなんですが。

中に入って小上がりに向かうと、すぐに壁を突き抜けて駐車場に出てしまう。
いや、物理的には壁があるので、それを敢行すると店が倒れて消滅するが。
マサカと思うがオットが暴走しないように、袖を引いてカウンターに座った。
このバカデカ男が激しく動いたりしたら、店が倒壊しそうな危うさがある。

鮪いか







鮪とイカ。たまげるほどではないが普通にウマイ。
大雑把にドドドと付け台の二人の真ん中へんに置いてくれる。
若干乱雑な感じがするけど、ここでもう53年営業しているという大将がやると
ざっくばらんでそれもいいか、という気分になるのだった。

正確には53年間で一度だけ、同じ区画から移動したそうだ。
地主が「駐車場にする」と言うので「行くとこないんだけど」と言ったら
今の店舗を建ててくれたとやら。
この店はどうなるんだろう、と不安な気分になるが「ここは大丈夫」だそうだ。
それはよかった。

鯖蛸








「休み明けでまだ締まってない」と言いつつ切って貰った〆鯖。
確かに酢が回りきっていない感じはしたが、ネタは新鮮だ。
美味しいですねと言ったら「最近の若い人は生なほうが好きだよね」と。
蛸も甘味があって、よろしいんじゃないでしょうか、という感じ。

握ってもらうことにする。
大将はたまにカウンターの奥で腰掛けて煙草など吸っている。
「寿司屋は煙草を吸っちゃあイカンのよ」と笑う姿もよろしいんじゃないですか
と思う。

野毛の昔話は、ここいらの古い飲み屋さんなんかで何度も聞いたことがあるけれど
この大将が語ると独特の空気でとても楽しい。

コハダ赤貝







コハダは酢がほどよく効いていた。
赤貝はぷりんとウマイ。

他にもアレコレ頼んで、たぶん10貫くらい食べたろうか。
ほどよく普通のお寿司である。
普通とはいえ、きちんとしている。

ずるずる長居をする店でもなさそうだが、ナンダカンダとビール三本に冷酒二本。
お勘定はちょっと高めの居酒屋程度。良心的だ。
費用対効果的にはまったく不満なし。

実は特に用もなかったので尋ねなかったけれど、ここのお手洗いの場所は不明。
店の中にはどう見てもそのスペースはなかったので、きっと外のどこかに
あるのだろうな。
しかし、いったいどこに・・・?

この店の場合、美味い不味い以前に文化財的な価値を讃えたい感じ。
蹴ったら倒れそうでいて地面にしっかり張り付いた店と大将がキュートだ。
手を変え品を変え技巧を凝らし・・・という細かさの真逆を行くスタイルが
いっそ気分よいので、ここはまた寄りたい。

だるま寿司 
採点:★★★★


ちょっとタイプ違うんだけど、こういう人もステキだわ・・・な、お寿司屋でした。





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arima0831 at 17:35│Comments(12)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote 和食 | 桜木町・野毛

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この記事へのコメント

12. Posted by アリーマ   June 09, 2009 09:01
宝さん

外にあったのですね。
キレイなんでしょうか?
男女兼用で外のみ、となると、女性にはちょっときついかもしれないですねえ。

ともあれ、情報をありがとうございます。
謎がひとつとけました。
11. Posted by 宝   June 08, 2009 23:57
5 因みに大将にWCに行きたい旨伝えると鍵を渡されたような・・・
ただWC自体は店のすぐ裏にありますのでご安心下さい。
10. Posted by アリーマ   September 12, 2008 10:28
にっきさん

貧相なオヤジ道・・・でも、道のりは長そうです。
ああ、夢の「マイ寿司屋」。
9. Posted by にっき   September 12, 2008 08:25
アリーマさん同様、安心してお寿司屋さんに入れたのは父と一緒に行けた頃の話です。
自分ではなかなかそこまでの境地には達しないなぁ。自分の家からさほど遠くないところに、普通の覚悟(でもやはり覚悟がいるのよ私には)で入れるマイ寿司屋がいいなぁ。ご近所に1軒あったが、つぶれた・・・。ああ(嘆)
田園都市線、鰻屋や天麩羅屋さんはどうもいまひとつだけれど蕎麦屋とお寿司屋さんだったらどうにかなりそう。私もマイ寿司屋をみつけて堂々「貧相なオヤジ様」くらいは目指そうかな。
8. Posted by アリーマ   September 11, 2008 00:15
sunさん

いらっしゃいませ。

改めて店の前に立つと、とっても不思議な風景なんですよね。

とりあえず普通にお寿司が食べられます。
大将も気さくな人です。

この倍、三倍以上がいわゆる世間の「寿司相場」だから、ふらっと入ってみても大怪我はしないと思います。
あの佇まい(?)に惹かれるものがあるなら、行ってみても良いかも。
誘う人は選んだほうがよいでしょうが(笑)
7. Posted by sun   September 10, 2008 23:00
「はじめまして」です。

このお店、前からずっと気になっていたのですが
入る勇気がなく、いつもその不思議な佇まいを眺めておりました。

機会があったら、チャレンジしてみようかな。
6. Posted by アリーマ   September 10, 2008 09:41
>トリノさん
よしながふみの『愛がなくとも喰っていけます』の名台詞「オヤジは誰でも心の中に『マイ寿司屋』を持っている」っていうやつ、ワタシはオヤジじゃないですがしみじみ名言だと思います。

ここの場合「マイ寿司屋」とまで呼ぶには若干物足りないものはあるのですが、値段が安くて気軽だし、それなりに「寿司喰った」感は味わえるので、困ったときには取り急ぎ出かけようかと思っています。

立派なオヤジに・・・あんまりなりたくないんだけどなあ・・・。

>ヌシさん
どういう感想になるかはなんともいえないけど、まあ気になっていたなら寄ってみるのも一興ではないかと。
5. Posted by 小径のヌシ(^−^)   September 10, 2008 08:00
毎週のようにこのお店の前を通るも
いまだに入ったことなし …
ふむぅ こんど摘みに寄ってみよう
4. Posted by トリノ   September 10, 2008 02:49
贅沢な食べ物と言えば。
寿司。

思うにですね。
好きなモンをイツでも、好きなだけ食えるようになったら、退屈なんだろうな、と。
自分の稼ぎで、ようやっと寿司とか万能ネギとか食えるのが幸せなんだろうな、と。
熊の掌とか食ってみたいが。
今の稼ぎでは食えないか。。。

さて。
私は自分の好みとほぼ合致した「マイ寿司屋」を早々に見つけることが出来て幸せです。
アリーマ様も、マイ寿司屋を見つけられるとイイですね。
そしたら、アリーマ様も立派なオヤジ様です。

先月末のマイ寿司屋。
トリ貝、シンコ、「今年はもう、お仕舞い」とか。
あぁ。
季節を寿司屋で感じる、なんてぇのは幸せの極致でした。
3. Posted by アリーマ   September 09, 2008 23:23
>socitonサン
厳しい人にすれば突込みどころはいろいろありそうだけど、予想よりはるかによかったですよ。
て、いうか、一人一万越えが当然な類の店じゃないので、比較の対象にならないかと。
でも、回るやつ→どうでもいい寿司→高級店と、なんだかヤケに住み分けがハッキリしている中で、こういう中間帯のほどよい庶民店の存在って貴重だと思います。

>つちころりさん
ワタシも某所でオススメの声を聞かなかったら、まず入る勇気はなかったと思う。
名店でも高級店でもなく、どうも常連だけが支えている様子です。敷居が高いかと思えば、そう閉鎖的でもなかったし。
本格派かどうかはさておき、基本はきちんとしてます。でも是非どうぞ、とはあえて言わないかなあ。
2. Posted by つちころり   September 09, 2008 22:20
終にこちらへ行きましたか〜。

この立方体みたいな店、気になっていましたが。
移動したとはいえ、半世紀もあるとは…。

入るには冒険かなぁと思いましたが、
写真を見ると結構本格派ですね。
1. Posted by sociton   September 09, 2008 21:31
うわーいったんですか。。。
私は野毛の鮨の話だけを、たくさん聞いているので食指動かず。。。
さらに大通り沿いはさらに・・・
でもアリーマさんご夫妻は私よりえら〜いと思いますです。

吉田町の富鮨がうまいと聞きましたが、これもまだいっていません。
相生町のいげたすしは老舗でいいようですねー。

最近は市場もちょっとなーって感じです。
すしは難しいですね、客としても。

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