December 23, 2008
江戸川橋『石ばし』で鰻三昧♪ 〜憧れ鰻にがっつきまくる〜
ところでクリームあんみつの前にどこでなにをしていたかと言うと、
「ウナギ喰ってた」のであるよ。
ふぉっふぉふぉ。
同行者は旧知の友人。K氏である。
そそ、ワタシが惜しみなくがっついたクリームあんみつは、本来は彼の注文品。
昔は二人で大酒ばっかり飲んでいた仲間なのだがね。
まさかよりによって「クリームあんみつ」を二人仲良くつつく日が来るとはな・・・
年月とは不思議なものです。
さて今回は、一度は行ってみたかった『石ばし』に遠征だ。
元の実家のすぐ近くにあって、今でも鰻屋としてはホーム感覚強い『安斎』に
下町情緒たっぷりな柔らか江戸前『尾花』と「二強」はキメた。
この『石ばし』は実に20年以上前から何度も行ってみようとしていたのだが、
特に深い理由なく行きそびれていた。
本当にただなんとなく、遠くで単に指をくわえて思いを募らせていただけだ。
行けよ、それなら。
何故かこういう妙にフットワークが鈍いところが昔からあるんだな。
まあいいや。
西麻布『いちのや』のほどよい鰻をしばらく前に食べたけど
あと一声の懶惰な至福感(なんだそりゃ)に及ばず。
妙な具合に「うなぎ欲」に火がついていたんである。
『石ばし』の場所は、初めてだと実にわかりにくい。
地下鉄江戸川橋駅が一番近いが
そこからもしばらく歩く。
地図を確認すると「石切橋」なる橋のそばにある。
だから「石ばし」なのか?
ただでさえ不案内なのに薄暗い中
不安な思いで石切橋を越えて川沿いを歩くと
鰻の香りが鼻腔に忍び込む。
いい感じの灯りが見える。
不安を期待に変えて灯りに駆け寄るワタシ。
鰻の香りに食欲も立ち上がって踊りだす。
古めかしい庶民的な店構えに心和ませながら
引き戸をガラガラと開けるとそこは・・・
・・・別の店だった。
ちなみにこちらは『はし本』。あとで調べたらこっちも良い店らしい。
いっそここでいいや、というやけっぱちな気分だが
連れが待っているのでそうも行かない。
ぐしゃぐしゃに混乱して、転げるように見知らぬ街角を彷徨うワタシ。
ここがまたわかりにくい場所だ。
不安と空腹と妙な焦燥感で
猫が自分の尻尾に喧嘩を売っているような
意味不明な気分になり始めたころ店を発見。
どっしりした煉瓦造りの壁が
レトロモダンというのだろうか
実に雰囲気良くてふと佇んでしまう。
ふっふ、ここもいい匂いがするぞ♪
靴を脱いで上がると、なんとも良い感じに軋む磨き上げた床を踏みしめて奥へ。
立派な座敷に通された。
ついつい神妙な顔つきになりますね、こういう時って。
まずはビール、そして日本酒。
お通しはまず朧豆腐。
そして三種の先付け(写真なし)。
上品だな。
通常鰻屋では専ら漬物なんかをアテにして
うだらうだらと焼き上がりを待つのだが
ちょびっと姿勢を正していただく。
たまにはこういいのもヨロシ。
そして「うざく」。
うざくだけは『尾花』が一番だが
ここのもウザくない美味しさ
・・・ちょっと言ってみたかっただけだよう。
仄かな胡麻の香りが結構でゴザイマス。

先付けとうざくをちょいちょいやっつけた後、肝焼(奥)と中落ち(手前)が登場。
すぐ売り切れるという話なので、事前予約しておいたのだ。
まずは中落ちを気楽に一口齧って一瞬の沈黙。
ううう、と、蕩ける・・・これは久々の絶妙な蕩け感覚だ。
月旨がニクヅキウマくて、いっそ甘いぞ嗚呼。
汁気とともに蕩ける肉片を遠い目で噛み締める。
K氏も無言で目が遠くなっている。
肝は肝でまったりしっとり柔らかく口で解けた。
タレもほどよい甘さでこれは絶品。
安斎の香ばしい男性的な肝焼とは、また違う世界だ。

そして白焼き登場。
手前がワタシの分だ。
大きいものを頼んだのだが、端のほうはちょっと脂が落ち気味の感あり。
焼きの加減の問題らしい。
しかし真ん中あたりの「月旨感」ときたら、もうこれは醤油や山葵すら軽い香り付け程度にしか必要ないくらい。
そう、K氏は最初「うををを」と歓喜の声を上げていたのだが、尻尾に向かうにつれ
感動が薄れている様子。
ワタシは最初「?」と思ったが、後半どんどん盛り上がっていくのだ。
ここでうっかり余計なことを言うと、尻尾に当たったK氏の不満を呼びそうなので
しらばっくれて勝手に目だけ潤ませ・・・
と、後生大事に残した「最後の二口」の半分を、K氏涼しい顔でひっさらう!
しらばっくれた様子で天井の節目を見ている様子が白々しい。
「をいっ!!!」と片膝立ちになりかけたが、自分に強圧をかけまくって収め、
残りの一口をスバヤク摂取。
まずはスバヤク堪能してから、今度は残ったK氏の尻尾分を大きく箸でぶっちぎって
口に放り込むワタシ。
K氏も「をいっ!」という目つきで体が軽く揺れたが、先にやっちまったのは彼だし
まあ二人ともオトナなので「あはは、美味しいね」「ホントにおいし〜」と
軽く押し殺した声の会話になった。
一見穏やかな語らいに見えて、裏にはこのような激しいドラマが潜んでいたのだ。
実は、と言われても「だからなんですか?」で終わりそうだがね。
実は「ひょっとしたらヒメさんに端っこくらい」とミニタッパを潜ませていたが
欲(食欲ね)に眩んで思い出しもしなかった。ヒメさんごめんね(毎度のことだがさ)。

さて、長年の交遊が水泡に帰すか・・・と思われたその時、救世主鰻重様御降臨。
テンションを切り替えて「せーの♪」とそれぞれの蓋を開けると
テリッテリ♪
ご飯が多少柔らかめだが、かすかに弾力のあるふっくらとした身が堪えられない。
安斎よりは柔らかめ、尾花よりは歯応え感あり。
タレはやはり程よい甘味はあるけれど辛口。
上品だが腰抜けではない鰻は谷原章介、だろか?
ちなみに『安斎』は高倉健です。
『尾花』はなんだろう?
そしてこの店の漬物が実に旨い。
奈良漬もちゃんと入っている。
ワタシは鰻屋で漬物がイマイチだと
どうも満たされない思いを抱えてしまうので
これはとても嬉しいのだった。
もう何十年も伝わる
由緒正しい年代ものの糠床だそうだ。

せっかくだから漬物を鉢盛りで追加。
もうしばらく飲んだ。
鉢のほうは浅漬けだったが、糠の風味がなんともタマラン。
みっちり草臥れるまで漬かったヤツを是非食べてみたいなあ。
久々に身も心も月旨なヨロコビに満たされた晩。
思い出すだけで幸せになる。
尚、うざくや肝焼は品書きには載っていない。
そして事前に要予約だからご注意を。
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このあと「クリームあんみつ」を・・・欲望って果てしないな(食欲ね)

実はヒメさん不調時用に冷凍庫に白焼きが潜んでいたり・・・ジョーカーなのよ。
東京 五つ星の鰻と天麩羅
著者:見田 盛夫
販売元:東京書籍
発売日:2007-07
おすすめ度:
クチコミを見る
「ウナギ喰ってた」のであるよ。
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同行者は旧知の友人。K氏である。
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まさかよりによって「クリームあんみつ」を二人仲良くつつく日が来るとはな・・・
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さて今回は、一度は行ってみたかった『石ばし』に遠征だ。
元の実家のすぐ近くにあって、今でも鰻屋としてはホーム感覚強い『安斎』に
下町情緒たっぷりな柔らか江戸前『尾花』と「二強」はキメた。
この『石ばし』は実に20年以上前から何度も行ってみようとしていたのだが、
特に深い理由なく行きそびれていた。
本当にただなんとなく、遠くで単に指をくわえて思いを募らせていただけだ。
行けよ、それなら。
何故かこういう妙にフットワークが鈍いところが昔からあるんだな。
まあいいや。
西麻布『いちのや』のほどよい鰻をしばらく前に食べたけど
あと一声の懶惰な至福感(なんだそりゃ)に及ばず。
妙な具合に「うなぎ欲」に火がついていたんである。
『石ばし』の場所は、初めてだと実にわかりにくい。
地下鉄江戸川橋駅が一番近いが
そこからもしばらく歩く。
地図を確認すると「石切橋」なる橋のそばにある。
だから「石ばし」なのか?

不安な思いで石切橋を越えて川沿いを歩くと
鰻の香りが鼻腔に忍び込む。
いい感じの灯りが見える。
不安を期待に変えて灯りに駆け寄るワタシ。
鰻の香りに食欲も立ち上がって踊りだす。
古めかしい庶民的な店構えに心和ませながら
引き戸をガラガラと開けるとそこは・・・
・・・別の店だった。
ちなみにこちらは『はし本』。あとで調べたらこっちも良い店らしい。
いっそここでいいや、というやけっぱちな気分だが
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ぐしゃぐしゃに混乱して、転げるように見知らぬ街角を彷徨うワタシ。

不安と空腹と妙な焦燥感で
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レトロモダンというのだろうか
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ついつい神妙な顔つきになりますね、こういう時って。

お通しはまず朧豆腐。
そして三種の先付け(写真なし)。
上品だな。
通常鰻屋では専ら漬物なんかをアテにして
うだらうだらと焼き上がりを待つのだが
ちょびっと姿勢を正していただく。
たまにはこういいのもヨロシ。

うざくだけは『尾花』が一番だが
ここのもウザくない美味しさ
・・・ちょっと言ってみたかっただけだよう。
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先付けとうざくをちょいちょいやっつけた後、肝焼(奥)と中落ち(手前)が登場。
すぐ売り切れるという話なので、事前予約しておいたのだ。
まずは中落ちを気楽に一口齧って一瞬の沈黙。
ううう、と、蕩ける・・・これは久々の絶妙な蕩け感覚だ。
月旨がニクヅキウマくて、いっそ甘いぞ嗚呼。
汁気とともに蕩ける肉片を遠い目で噛み締める。
K氏も無言で目が遠くなっている。
肝は肝でまったりしっとり柔らかく口で解けた。
タレもほどよい甘さでこれは絶品。
安斎の香ばしい男性的な肝焼とは、また違う世界だ。

そして白焼き登場。
手前がワタシの分だ。
大きいものを頼んだのだが、端のほうはちょっと脂が落ち気味の感あり。
焼きの加減の問題らしい。
しかし真ん中あたりの「月旨感」ときたら、もうこれは醤油や山葵すら軽い香り付け程度にしか必要ないくらい。
そう、K氏は最初「うををを」と歓喜の声を上げていたのだが、尻尾に向かうにつれ
感動が薄れている様子。
ワタシは最初「?」と思ったが、後半どんどん盛り上がっていくのだ。
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しらばっくれた様子で天井の節目を見ている様子が白々しい。
「をいっ!!!」と片膝立ちになりかけたが、自分に強圧をかけまくって収め、
残りの一口をスバヤク摂取。
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実は「ひょっとしたらヒメさんに端っこくらい」とミニタッパを潜ませていたが
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テンションを切り替えて「せーの♪」とそれぞれの蓋を開けると
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ご飯が多少柔らかめだが、かすかに弾力のあるふっくらとした身が堪えられない。
安斎よりは柔らかめ、尾花よりは歯応え感あり。
タレはやはり程よい甘味はあるけれど辛口。
上品だが腰抜けではない鰻は谷原章介、だろか?
ちなみに『安斎』は高倉健です。
『尾花』はなんだろう?

奈良漬もちゃんと入っている。
ワタシは鰻屋で漬物がイマイチだと
どうも満たされない思いを抱えてしまうので
これはとても嬉しいのだった。
もう何十年も伝わる
由緒正しい年代ものの糠床だそうだ。

せっかくだから漬物を鉢盛りで追加。
もうしばらく飲んだ。
鉢のほうは浅漬けだったが、糠の風味がなんともタマラン。
みっちり草臥れるまで漬かったヤツを是非食べてみたいなあ。
石ばし (いしばし) (うなぎ / 江戸川橋)
★★★★★ 4.5
久々に身も心も月旨なヨロコビに満たされた晩。
思い出すだけで幸せになる。
尚、うざくや肝焼は品書きには載っていない。
そして事前に要予約だからご注意を。

このあと「クリームあんみつ」を・・・欲望って果てしないな(食欲ね)

実はヒメさん不調時用に冷凍庫に白焼きが潜んでいたり・・・ジョーカーなのよ。

著者:見田 盛夫
販売元:東京書籍
発売日:2007-07
おすすめ度:

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この記事へのコメント
3. Posted by アリーマ December 25, 2008 21:38
>kanさん
確かに歌舞伎系かもしれません。
店の雰囲気まで考えると、下町風で庶民的な感じもするんですけどね。誰だろう。
四巻は某所で予約注文したのがまだ届きません。
はやくこ〜い!
>にっきさん
贅沢ですよねー。しかし、しっとり落ち着いたお座敷で、いい日本酒なんかを結構いただいて一人一万ちょっと。フレンチ一回行くような感じでしょうか。鰻重だけなら他店並みだけど、それだと絶品肝焼なんかには「お会いできない」のが悲しいしね。場所も含めてなかなか行けない店なので、思い切ってお大尽に踏み切ったわけです。わはは。
今年は悲しくも安斎に行けずに終わり、M.V.Uはぶっちぎり対抗馬なしで『石ばし』ですねえ。
別に谷原章介がものすごく好きってワケじゃないんだけどな。いい役者さんね、とは思ってるが。
鰻大好きだけど、横浜にはホントにいい鰻屋が無いに等しいから、意外に食べる機会は少ないのです(涙)。
確かに歌舞伎系かもしれません。
店の雰囲気まで考えると、下町風で庶民的な感じもするんですけどね。誰だろう。
四巻は某所で予約注文したのがまだ届きません。
はやくこ〜い!
>にっきさん
贅沢ですよねー。しかし、しっとり落ち着いたお座敷で、いい日本酒なんかを結構いただいて一人一万ちょっと。フレンチ一回行くような感じでしょうか。鰻重だけなら他店並みだけど、それだと絶品肝焼なんかには「お会いできない」のが悲しいしね。場所も含めてなかなか行けない店なので、思い切ってお大尽に踏み切ったわけです。わはは。
今年は悲しくも安斎に行けずに終わり、M.V.Uはぶっちぎり対抗馬なしで『石ばし』ですねえ。
別に谷原章介がものすごく好きってワケじゃないんだけどな。いい役者さんね、とは思ってるが。
鰻大好きだけど、横浜にはホントにいい鰻屋が無いに等しいから、意外に食べる機会は少ないのです(涙)。
2. Posted by にっき December 25, 2008 07:13
またまた贅沢なもんを召し上がってますねぇ。アリーマさんの今年度輝ける最高殊勲うなぎ(M・V・U)は何処?そして佐藤浩市を越えるうなぎ男優は誰?(私は佐藤浩市うなぎのほかに、炭火で焼きこんだ枯れた味わいの緒方拳うなぎというのも愛していたのだけれど、緒方さんが亡くなられてしまったからなぁ・・)
1. Posted by kan December 25, 2008 02:58
「尾花」だと、なんとなく歌舞伎寄りの役者さんを思い浮かべました。
しなやか、ゆったり、筋骨隆々でない、などなど。
ただ、個人名を出すとあまり美味しそうではナイかも…
よしながふみ『大奥 第四巻』出ました。
しなやか、ゆったり、筋骨隆々でない、などなど。
ただ、個人名を出すとあまり美味しそうではナイかも…
よしながふみ『大奥 第四巻』出ました。