June 09, 2009

さよなら『栄楽園』! 其の二 〜ひとりメシ嬢と二人メシで最後を飾る〜

嗚呼、栄楽園
こんどこそ最後の一回である。

一人で何度か出かけて見たが、やはり単にメシを掻っ込むだけでは食べるものにも限りがある。

例によって思念に蟻地獄を設けて「誰か行かないかねー」と強く念じていたところ
例の如く(?)知己の中ではひときわ徳の高いひとりメシ嬢が落ちてきてくれた。
即座に電話をして某日夜に二席確保。
前回食べそこねただけに、この期に及んで売り切れは悲しすぎる・・・と「白切鶏」も
ついでに予約しておいた。

お店には「相席で構いません」と伝えてあったのに、行ったら二人で一卓どうぞと。
最悪30分くらいでゲリラ戦的に食べて帰るぞ、と思っていたのだけれど、
「せっかく御予約いただいて、お料理を召し上がっていただくのですから
どうぞゆっくりと一卓お使いください」と逆に気を使ってもらってしまい
平身低頭恐縮する。

そうか、ここはやっぱり実にちゃんとした店だったのだなあ、とイマサラながらに
しみじみと思った。
どこぞかのタカピーな行列店混雑店は、この店の人たちの爪の垢でも煎じて飲むがよいぞ・・・。

「予約してお食事ならばテーブルはゆったりと」という気配り、当たり前のようだが
昨今はそこそこの高級店でも案外ダメだったりする。
こんな質素な小さな店なのに、こういうお店の人たちの気持ちの真面目さ誠実さが
長年にわたって色々な人の胃も心も癒してきたのだろうな。

栄楽園 白切鶏

見た瞬間に「これはウマイよう!」と思わず言葉が漏れた「白切鶏」。
「冷たいゆで鶏」とメニューにはある。
ぺりおさん一押しということで期待も高かったが、なるほどこれは素晴らしい!
旨みがギュッと詰まった骨付きの鶏肉は、骨回りの肉がうっすらピンク色だが
しっかりと火は通っていて生臭さは全くない。
そして皮、身、骨回り・・・と、各パーツの味わい旨みがそれぞれ地味ながらじんわり
口中に広がるのだ。
これは逸品である。

香港やシンガポールの街角なんかでは普通に売っていそうな一品なのだが
これだけ鶏の旨みが絶妙に生きたものにはまず滅多とお目にかかれまい。

実はワタシ、鶏で一番好きな部分が「鶏皮」だったりする安上がりなヤツなのだが
鶏皮でこんなにしみじみ感動したのは初めてかもしれない。
適度に脂を落としながら程よい弾力を残した皮も素晴らしいが、身も別の旨みで
なんともしっとりした味わい。
夢中で骨をしゃぶって一瞬で喰い尽くしてしまった。

栄楽園 白切鶏鶏だけでも十分に美味いのだが
これまたステキなのが特製のタレだ。
ネギと油を和えたものに
オイスターソースにナニカの味を足した
甘辛いソースがのっている。
一瞬自分でも真似できそうに思えるが
でもやっぱり到底無理な「ナニカ」がある。
まさに「秘伝の味」というやつだろか。


え〜、これもう喰えないの・・・と、自分で書いてて目に涙が滲みます・・・。


栄楽園巻揚げ

実は本来揚げものがそれほど好きでもないので、巻揚げは一人ならばおそらく
あえて頼まなかった一品だが、ひとりメシ嬢のリクエストもあって頼んで見る。

一見ちょっと焦げちゃったかな、というルックスだが、コレがまた素晴らしい♪
香ばしさ一杯だがちっとも油臭さがない。
揚げ油が良いのだろうが、火の通り方も丁度ぴったりなのだ。。
中の具材は、海老と豚肉の程よい旨みを野菜が柔らかく受け止めている感じ。
食感としては、パリッとした皮の中にふんわりジューシーで柔らかな具が入って
他所の店ならば内側にもう一捻りしそうなところだが、この柔らかさが優しくて
とてもいい感じだ。

え〜、これもう喰えないの・・・とまた・・・(涙)

栄楽園 豚足

二人っていいな。まだまだいけるぞ・・・と、豚足。
この日、実はお持帰り用タッパも持参してきているので心置きなく頼む。

この豚足がまた・・・もうとろっとろ。
柔らかい味の薄い醤油味の餡が、このとろっとろをふんわり優しく覆っている。
基本的に豚バラ丼なんかの餡と同じだと思うのだが、これは豚バラにもいいが
豚足だとより一層生きる味だ・・・!

え〜、これもう喰えない・・・以下同じ(涙)

一体どうして今の今まで、ここでキッチリ「お食事」をしなかったのかね?!と
自分を思いっきり責めたい気分になる。

叉焼丼ばっかり食べて、早いウマイ安い♪なんて喜んでたワタシときたら・・・嗚呼。

ふと気がつくと、並ぶ人まではいないものの店内はちょうど満席。
周囲の「え、まだ喰うのかよ?!」と言いたげな視線が突き刺さってくるようだ。
気のせいだろう。気のせいだよね。
わっはっは。

栄楽園揚げワンタン

さすがにもうこれ以上頼むと、丼二種喰いは不可能領域に押し出されてしまう・・・
とは思ったものの、他のテーブルで頼んでいたこの「揚げワンタン」に目が釘付け。

ひとりメシ嬢が「ううう、いやしかし・・・」と同じ思いで悩んでいるようなので、
「いざとなったら丼は半分持ち帰ればヨロシ!」とコールをかけてしまった。

頼んで正解!
正直言ってどこで食べても「皮がパリッぱり〜」以上の喜びはなさそうな一品だが
ここの場合、結構ワンタンが大振りなので、具の豚肉がピンク色のジューシーさで
しっとりとウマイのだ。

しかも皮が香ばしい油で揚がっているので、パリッぱり〜♪の喜びはどこより強力
ときたもんだ。
この半満腹時(ナンダそれは?)ですらこんなに美味いのだ。
食事の前に、コレをお伴にビールで一杯やるのは堪えられまい。

なるほど人気メニューらしくて、周りの席で「ビールでとりあえず」な人達は
軒並み「とりあえずのお伴」に揚げワンタンなのだった。
ううむ。いままで気がつかなかったのも迂闊な話だ嗚呼。


栄楽園海老と玉子丼

ラストの海老と玉子丼!
ウマイっ!!
言うまでもないっ!!!

栄楽園叉焼丼

そして叉焼丼。
最後の最後の叉焼丼だ。
涙も出ないほどの満腹感とともに胸もいっぱいなのであった。

コレが・・・コレがもう喰えないなんて・・・しくしくしく。


改めて何を食べても本当に美味しい店だったんだなあと、しみじみ口の中で
あの味この味を再現しては涎を噛み締める日々。

中華街ナンバーワンの店でこそないが、真実オンリーワンの店だった。
時の流れ、状況の変化というものは、それなりにきちんと受け止めるのがオトナ、
とは思うものの、あまりに寂しくて蘇州小路には当分近づけそうにないワタシ。



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さよなら栄楽園!


追伸:
8日夕方にNHKに出たそうだ。
見そこねてしまったのだけれど、再放映しないかな・・・。




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壇流白切鶏は「蒸す」そうです。

arima0831 at 23:00│Comments(14)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 中華料理(2008.6~2010.12) | 横浜中華街

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この記事へのコメント

14. Posted by アリーマ   June 13, 2009 00:13
haru-hamaさん

いらっしゃいませ!
栄楽園閉店関係のブログをググっていて、偶然そちらにも遊びに行ったばかりだったのですよ。
スティルさん、かわいいですね♪
長毛種は今の季節大変ですよねえ。
我が家の短毛駄猫達からも、日々結構な収穫量です。

最終日は大変な混雑だったそうですが、無事入れてなによりでした。
録画されたんですか〜(羨)
拙ブログ関係の栄楽園ファンもうっかり見過ごした人が多いのですよ。

実は最初の取材時にたまたまワタシも食事をしていたのでした。
とても感じのいい女性記者の方で、ああいう丁寧な取材をした番組ならば見てみたいなあ、と思いました。きっといい番組だったのでしょうね。

また是非のぞきにいらしてくださいまし。
ワタシもスティルさんの顔を眺めに、またうかがいます♪
13. Posted by haru-hama   June 12, 2009 23:06
はじめまして。
栄楽園、最終日に初めて行き最初で最後となってしまいました。家から近くいつでも行けると油断していて大失敗です。白切鶏おいしかったー。
ちょうどNHKの番組スタッフの方と同じテーブルで食べたので8日の番組は録画して見ましたよ。
お向いの酒屋さんとのおつき合いやご夫婦のエピソードなどを丁寧に取材していて、短いながらいい番組でした。
今、こちらの過去記事をガツガツ読み漁っているところです・・・今後も時々寄らせて下さいませ。
12. Posted by アリーマ   June 11, 2009 14:12
ぺりおさん

よきアドバイスをありがとうございました。
イカねぎ和えも非常に美味しかったのですが、この白切鶏は予想を完全に超えた逸品。
強くお勧めいただかなかったら、きっと食べそこねたままだったと思います。
間に合ってホントよかった!

「中華街の接客」といっても二種あると思います。行列店混雑店のなにかを勘違いした傲慢な接客は、ワタシは相変わらず我慢ならないのですが、いわゆるアジア的な悪意ないユルい無愛想な接客は特に気にならないです。
でも、やはりこのお店のようなさりげない気配りは心和みます。味や安さだけでなく、こういう安らぎがあるから愛されてきたのだなあとしみじみ思います。

豚足は残念でしたね。
ワタシももっと早く食べたかったです。

嗚呼、年に数回とかでもいいから、どこかのイベントで品数限定で参加するようなことはできないものかしら・・・。そしたらワタシは必ず並んででも食べに行くのに。
11. Posted by ぺりお   June 10, 2009 22:44
アリーマさん。

最後の最後に白切鶏、間に合ってよかったですね。

鶏の処理がやっぱり他所には真似できない域に、達していたのだと思います。

中華街の接客に対して、いろいろ言う人いますが、私は美味しいもの食べさせてもらえれば、あまり気になりません。でもこのお店の方の優しさは、料理の美味しさをさらに倍増させているんだと思います。

まさに、アリーマさんのおっしゃる、ナンバーワンでないけれども、オンリーワンのお店でした。(惜)

ああ、未食の豚足 食べたかった〜〜〜〜〜〜。
10. Posted by アリーマ   June 10, 2009 22:29
ひとりメシさん

いやあ、本当にどれもこれも美味しかったですよね。
最後の丼以外はワタシも一回食べただけなんですよう。
巻揚げ、揚げワンタンのような中華の揚げ物系が、こんなに美味しかったのははじめてかも!

ううう・・・もうないんですよう(涙)
9. Posted by ひとりメシ   June 10, 2009 19:52
お声をかけていただきありがとうございました。
どれもおいしかったですね。
それにしてももうあの味が楽しめないのは惜しい!です。
揚げワンタン、海老と卵の丼、どれももう一回食べたいものばかりでした。
うぅ、残念です(涙)
8. Posted by アリーマ   June 10, 2009 15:57
アパ経さん

ええ〜!
行きたかったならばスバヤク言ってくれればっ!!
まさか都内から遠征が来てくれるとは思わなかったんだよう。
確かに店構えだけはアレとはいえ、こういう店は都内にありそうでないかも。

しかしこの鶏、ワタシも書いたように最後の最後で知ったもの。
もっと早く知ってれば誘ったのにねえ・・・合掌。
7. Posted by アパート   June 10, 2009 12:38
うおおおお!逝きたがっだよううう(大泣)
特に「うで鶏」わたしゃあれがどわあああい好き
でねえ...
これがほんとの「失楽園」でんな。合掌。
6. Posted by アリーマ   June 10, 2009 11:35
>ぶりさん
拙ブログごときに如何ほどの影響力が・・・?とは思うものの、やはりそれなりに表に出せば物見高いだけの無粋な人や「行列フリーク」も多少は集まりそうで、実際多少は記事にするのを考えたりしたのです。閉店間際の狂騒状態を多少煽ってしまった反省はありますが、でも、むしろこういうお店が「知らない間に閉店していた」という事態の方が余程悲しいものだろうな、と思っています。
それにしても世間にいろんな人がいるのはわかっているけど、やっぱりこういう無神経な人は腹立たしいですね。
一方で、近所の常連らしい家族連れが、店からの連絡待ちで時間を合わせて遅い時間にやってきて、みんなで惜しみつつ団欒、という光景は何度か見かけてワタシも心温まりました。

>酔華さん
どうも一部の限られた常連さん以外は、みんなそんなパターンだったみたいです。
こんな段階まで「予算決めて料理おまかせの企画」をなんとなく思うだけで実行にうつさなかった迂闊さが悔やまれます。
この日食べた料理は、本当に何度でもリピートしたかったものばかり。なんとも素晴らしい店を失ってしまったなあ、という思いがしきりです。
はぁぁ〜(嘆)
5. Posted by アリーマ   June 10, 2009 11:20
>socitonさん
いまさらにここの料理は、まっとうに手をかけた素材を素晴らしい技術で丁寧に調製したものだったのだ、としみじみ思います。
わかってたつもりだったんだけれど、店構えから「麺飯掻っ込み処」としか認識してなかった自分の愚かしさが腹立たしいです。
素朴、というのですらない。この日の料理は、どこの有名高級店の皿に載って出てきても「さすが」と思っていたはずです。値段、倍以上だろうけれどね。

>にっきさん
調理場のお父さん、調理補助と接客のお母さん、そして接客のお嬢さん二人と、それぞれに色々な思いはあるみたいですね。
この日すっかり堪能出来て、もう悔いは残らなかろうと思っていたら、こういうものってしばらく経つとまた喰いたくなるもんでして・・・涙。
4. Posted by 酔華   June 10, 2009 08:01
ああああああああああ〜

私も同じでした、いつも、いつも叉焼丼ばかり喰っていました。
もっと手広くいろいろ食べておくべきだったと…
ハァ〜〜。
3. Posted by ふ゛り   June 10, 2009 07:56
最終レポート。
そしてまだ尚惜しみ行く声(泣。
茉莉花さんもそうでしたが、人が見えるお店だからこそのお店とお客との相思相愛な関係だったのでしょうね。
残念ながらフィーバー期間中は、Blogを見て来ました風情な人が料理を待ちきれず怒鳴る場面に出くわしたりもしましたが、私は夜の訪問が早い時間だったので、近所からのファミリー客に出くわす事も多く、お店の愛顧度を感じられました。
2. Posted by にっき   June 10, 2009 07:31
読んでてこちらまで目に涙。
きっとお店の人も「お客さんにもう自分の料理を楽しんでもらえないんだなぁ。」とものすごく寂しく思っていると思います。
幸せってうたかたのものだから幸せなのかもね。
最後にアリーマさんが堪能できて良かったです。
1. Posted by sociton   June 09, 2009 23:42
ああ、素朴な中華でも深みがあるなあと。。。
残念、一度食べたかったなあ(T_T)

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