July 31, 2010

『刑事眼―伝説の刑事の事件簿』という本を読んだ話・・・


刑事眼―伝説の刑事の事件簿
  • 三沢明彦
  • 東京法令出版
  • 1890円
Amazonで購入
書評


以前から名前だけ参加させていただいている『本が好き!』というブックサイトからいただいた本。

刑事モノに限らず警察小説はそう嫌いではないので、なんとなく献本の申し込みをした。

高価で場所をとる新刊書の段階で、積極的に自費購入こそしないものの、こういう機会だから普段買わないような本を読んでみるのも面白いか、と思ったのだった。

地味そうな本だと思えば、初版から数週間で増刷がかかっているらしい。
この出版大不況の世の中で、初版が何部だかはワカランものの、そこまで売れる本ならば案外面白いのかも知れないな、と思う。
しかもこれが新書ですらない新刊書で、税抜き1800円もする高価な本だ。

しかし読み始めてすぐに、あまりの話の単調さに「うああ」と軽く呻いてしまった。
イカン、一番苦手な類の本を引き当てたらしいぞ・・・やれやれ。

たまに病院の待合室なんかで読む「週刊S潮」の「男と女の事件簿(だったっけ?)」みたいなテンポと文章。
アレは週刊誌の短い読みもの的に起承転結がついているし、ずるっと読んでから「ああ、またアホなもん読んじゃったけどまあいいか」と頭の中の水洗機能をフラッシュすれば、あっさり流れ去っていく類のものなので、ソレなりのスタイルが確立されているのだと思う。

ただし、この本の基本トーンは至って真面目なもので、この類の話がベットリ押し出す「えげつなさ」は全くない。
描かれているのは、地味で地道な「昭和のデカ」の足跡だ。
色恋痴情沙汰などとは全く無縁であり、世間の刑事モノによくあるようなキワモノ感もゼロ。
まず服装のイメージが湧かない。見事にモノトーンな雰囲気。
ストイックというよりは、単に地味なのである。
ジーパンはいて突っ走ってる刑事など、夢にも現れない現実世界だ。
プロに徹する姿は素晴らしいと思うが、読む側としては正直ツマラン。
いやいやイカンな、がんばれ!と己を励まして読み進む。

すると今度は、何故か数ページおきに「ひといき入れるか」という気分になり、10ページも読むとさざ波のような眠気が押し寄せる。
深夜草子としては、眠気も吹っ飛び気付けば夜明け・・・なんていう本よりははるかに穏当ではある。
でも寝オチするたびに脳裏に残る「やれやれ感」が、季節柄もあるのかどうも蒸し暑い感じ・・・。

そうこの「やれやれ感」が、どうも何かに似ているよな、と考えてみたら、件の週刊誌連載なのだった。こんなどうでもいいことに、つい気付いてしまう。
話自体に色合いが不在なのも手伝って、文章を追いながら、本の内容とはまるっきり関係ないところに思考が流れていくのだ。

寝オチを5回くらい繰り返したところで、どうも眠くなるタイミングがどうもほぼ一定していることに気がついた。
ああなるほど、新聞か雑誌に連載されていた、短めの記事をまとめた本なんだろうな・・・と、そこで気付く。新聞連載をまとめたものって後でどれほど加筆訂正をしても、何故かコマギレな息つぎが入るような気ぜわしさがある。
新聞連載時はそこそこ面白くても、一冊の本になって読み始めたとたん、独特の疲労感に襲われるのだ。

新たな気付きが出てきたところで「もう読むのを止めてもよろしいんじゃないですか」とうっすら思う。
正直面白くもなんともない。
とりあえず、ワタシにとっては。

増刷の謎だけは、読み始めてすぐに解けた。
こうした現場の警察関係者が、バルクでごっそり買っているに違いない。
日本全国津々浦々にある大小無数の警察署の署長室なんかに、数冊〜数十冊配備するだけで、莫大な部数が捌けるのは間違いないことだ。
ううむ。このマーケティングは素晴らしいな・・・と、またどうでもいいことに感心をする。
ある意味、非常に地道で手堅い。
これでガッツリ儲けようという意図も、アカラサマに感じられないから、ある種の美談なのかも知れない。
どうだっていいが。

しかしまあ、感想を書かねばいけないのでもある。読もう!読むのだ!
なんとかギアを「週刊誌読み飛ばしモード」に切り替えて、斜めに駆け足で走りきりを狙う。
それでも数回寝オチしたが、最後まで頑張ったご褒美として、あとがきで「あはは」と明るく笑えることができたのは、まあ幸いだったかな、と思う。

やっぱりこの本は、連載記事をまとめたものだったのである。
掲載誌はなんと月刊「捜査研究」。
東京法令出版という出版社のもので、他に例えばどんな雑誌を出してるのかというと「月刊警察」とか「月刊交通」とか「月刊消防」とか。
きっと人気連載だったのに違いない。
まあそういう、専門特化型の出版社だったのだ。
知らなかったけれど。

そんなこんなで、たまには苦しい思いをして一冊を読了するという、それなりに貴重な経験にはなった。
茶化しているのでも馬鹿にしているのでもなく、たまにはやるべきことだと思う。
真実そう思う。

そういう意味では、ワタシの世間は少しだけ広がったのである。
だからそれでいいのだ、と思う次第。

ふう。



人気ブログランキングへポチッとよろしく♪
『本が好き!』は、他にも面白い本をいろいろとくれます。
問題はあくまで、ワタシの選び方なのだよ。



君は一流の刑事になれ君は一流の刑事になれ
著者:久保正行
販売元:東京法令出版
発売日:2010-04-22
おすすめ度:5.0
クチコミを見る

東京法令出版、昭和の刑事シリーズ(?)

 □【童友社】1/64スケール次世代電気自動車 i MiEV(アイミーブ) 神奈川県警察DOYUSHA
 □【童友社】1/64スケール次世代電気自動車 i MiEV(アイミーブ) 神奈川県警察DOYUSHA


arima0831 at 01:10│Comments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote 本の紹介 | サイトのご紹介

トラックバックURL

この記事へのコメント

4. Posted by アリーマ   August 01, 2010 14:51
>kanさん
これの場合変わった本ということでもなくて、評価する人は高く評価しているみたいです。他の人の書評を見て、ちょっとびっくり。

で、東京法令出版の出版物としては、こんなような本はたまにあるようです、これも特に特殊なものではない模様。世の中いろいろですよね。

>rosemasterクン
わかった、贈呈するよ。忘れた頃に届くかも。
「本が好き」は誰でも登録できるから是非どうぞ。
登録したら知らせてね♪

>ぶりさん
まあ、こういう本があってもよろしいんじゃないですか、ということでしょうか。
個人的にどうにもこういう文章がダメなので、こんな評価になっちゃいましたが。
きっとこれを喜んで読む人もいるのだろうと思うし、マーケティング的な金勘定だけで中身スカスカな白痴本とはまた違うものではあると思います。
3. Posted by ふ゛り   July 31, 2010 08:44
こういう捌けるマーケティングがなされた本というのはたくさんありますよね。
公務員の書いた本だとかは、業界各方面からの書物のコピペでまとめられていて、なぜか業界各社はそれを買わねばならぬ雰囲気で何千円もする本が何千部か確実に捌けるという。
2. Posted by rosemaster   July 31, 2010 05:33
読み終わって要らなくなったのなら俺にくれ。活字中毒だから、読んで毒でなければ何でも読むぞ。(今までに読んで一番毒だったのは退職した警察官僚の記念文集だったな。あれを読みきったら死ぬと思った)
「本が好き」に俺も登録してみようかな?
1. Posted by kan   July 31, 2010 02:30
東京法令出版でしたか(笑)

そういえば、真っ当な出版社が唐突に変わった本を出して、
困惑させられることはよくありましたっけ…

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔