January 03, 2017

2016年の本 其の二 ∼国産小説編〜

何となく翻訳小説と国産小説、というジャンル分けにしているのだけれど、果たして自分はどういうバランスで読んでいるのだろう、とちょっと気になって、ゴクローにも数えてみた。

翻訳小説はなんと45冊くらいだった、という驚きの結果。
意外に少ない。しかしまあ、バランスという意味では全体の四分の一だから、そんなものなのかもしれない。

翻訳と国産、どちらを十冊選ぶのが心躍るかと言えば、実はやっぱり翻訳小説になるのは何故だろう。日本で出版される段階でかなり厳密なフィルターがかかっているから、アタリ率が高いのは間違いないのだが。
特に今年はその傾向が強い。

そもそも海外の風物などが好きでたまらないから、大学は語学系だったわけだし、挙句に海外で十年もほっつき歩いて、その細々した備蓄で今もどうにか食っているわけだし。まあそりゃあそうなるのも無理はないのか。はあ、なるほど、と勝手に納得してみる。

しかし翻訳ものが二作続くと「もういいや」となってくるあたり、ワタシもやっぱり日本人。
最近は好きだといったら好きだ!と叫びまくれるほど好きな作家がいないのが寂しい。

今年は一年振り返ってみても、心躍り胸膨らむ感じが、国産分野ではどうも薄かった感あり。
しかも小説と言いながら、半分ほどはノンフィクションなど実用書だ。
まあ、面白けりゃあなんでもよろしい、ということなんだが。
2017年は国産系での出会いに期待しよう。


1.ブラック・ライダー & 罪の終わり
2.暗幕のゲルニカ
3.ギケイキ
4.空気のつくり方
5.菌世界紀行
6.私的台湾食記帖
7.大統領の演説
8.流
9.竜と流木
10.室町無頼


そう、出会いと言えば、今年は東山彰良というデカイのがあった。
出会いは直木賞。ありがとう、直木賞。ケッとか言わずに今後は真面目にチェックするよ直木賞。
この人の本ときたらどれを読んでも面白いもんで、ワクワク順にすると十冊のうち半分くらいが東山彰良に占拠されてしまうのだが、一応続編もセットで一位『ブラック・ライダー』。翻訳小説のランキングに突っ込んだとしても、これは圧倒的に今年の一位だった。海外で翻訳出版したら、世界に並み居るポストアポカリプス小説群は裸足で逃げ出すに違いない。是非世界進出して、村上春樹を越えてほしい!
プラス、やっぱり初めて読んだ『流』はやはり楽しかった。こちらの私小説的な味わいも好きだ。結局突拍子もないところに話は飛んでいくのだが。



流
東山 彰良
講談社
2015-05-13



二位『暗幕のゲルニカ』。原田マハが実はそれほど好きではないのだが、美術作品を背景に据えた謎解きも含めてワクワクしながら読んだ。どことなく端正すぎるところは相変わらず原田マハなのだが。今年は『異邦人(いりびと)』なんつードロドロのメロドラマも書いているから、ちょっとは変化するのかなあ、と期待。
暗幕のゲルニカ
原田 マハ
新潮社
2016-03-28



異邦人(いりびと)
原田 マハ
PHP研究所
2015-02-25



三位『ギケイキ』。なんのこっちゃ、と思えば『義経記』、つまり源義経の話。狂った繰り言のような町田康節は本来苦手なのだけれど、何故かこの背景にはしっくりと溶け込む。まだまだ続きがあるらしいんだけど、いつ出るのだろう?
ギケイキ:千年の流転
町田 康
河出書房新社
2016-05-12



四位『空気のつくり方』。著者は横浜DeNAベイスターズ元球団社長の池田純。この本について周囲に語ると、ファン以外のリアクションがあまりに冷たいのだが、実録マーケティング小説的に非常に面白い話。SWOT分析なんて言葉、久しぶりに聞いて懐かしかった。球団史上初クライマックスシリーズ進出に華を添える快著。
空気のつくり方
池田 純
幻冬舎
2016-08-30



五位『菌世界紀行』。なんでこういう理系の本が視界に入ってきたのかなあ、とつぶやいてみたら、知人でもある田中真知さんの名著『たまたまザイール、またコンゴ』(昨年刊行)を押しのけて、第一回斉藤茂太賞とやらに輝いた作品なんだ・・・と、田中真知さん御本人に指摘されて気付いた。ハハハ。身贔屓でも何でもなく、話の密度、濃度、背景にある諸々をひっくるめ、ワタシに取っては真知さんの本のほうがはるかに面白いし、本の密度としてもはるかに濃いとは思うのだが。でも自堕落な酒飲み話が北大同窓系の琴線に響く。極寒地の菌類などの話もついでに面白い。



六位『私的台湾食記帖』。今年一番胃の腑と食欲中枢を刺激しまくった一冊。シズル感溢れる台湾のストリートフードがステキ。台湾、行かなくちゃな。できたら今年早々にでも是非。
私的台湾食記帖
内田真美
アノニマ・スタジオ
2016-03-30



七位『大統領の演説』。著者パトリック・ハーラン。テレビでよく見かける「パックン」の御著作。歴代大統領の名演説&ダメ演説を取り上げて解説しながら、現代アメリカ史にも切り込む。スピーチ教本的にも、歴史事象解説的にも、コンパクトながら実にうまいことまとまっていて、非常に良い本だった。いやはや、勉強になりました。今年は仕事のネタにも流用させてもらいます♪
それにしても、名演説を次々繰り出すオバマ大統領という「便利な英語の名文製造家」がいなくなって、ワタシの仕事的にはちょいと痛手・・・(代わりにアレじゃなあ)。
大統領の演説 (角川新書)
パトリック・ハーラン
KADOKAWA/角川書店
2016-07-11



九位は安定の篠田節子。怖い怖い!本当に怖い!相変わらずの不気味なリアリティーで迫る、生物環境パニック小説。
竜と流木
篠田 節子
講談社
2016-05-25



十位は垣根涼介。応仁の乱のちょっと前あたり、という、おっそろしくシブく且つ暗い穴を抉って描き出される青春群像で乱世の武芸者修行ストーリー。楽しく読めた。
室町無頼
垣根 涼介
新潮社
2016-08-22




ま、そんなようなこんなような感じで、今年もずるずる本を読みたいと思います。
面白い本があったら、皆さん是非教えてください。
やはり老年化への対抗策は、仲間を作ってチームとして打率を上げていくことですな、と思っている今日この頃だったり。いろいろな意味で。

arima0831 at 00:14│Comments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote 好きな本 | 本の紹介

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