January 14, 2019

2018年に読んだ本 其の二 〜和書編〜

去年読んだ本のまとめ其の二で和書編。

日本の小説については、去年よりかなり気をつけて情報収集に努めているのだけれど、相変らず打率が低いような気がする。しかしまあ、今年は非常に楽しめる出会いもあったので、真面目に取り組んでヨカッタですね、と言ってよいのか。
何より好きな作家の大作快作が何冊も出たのは嬉しかった。

小説はまず置いておいて・・・
まずとりあえず、昨年読んだものの中で、断トツぶっちぎりで読み返しまくった一冊が・・・

『俺、つしま』



傑作猫漫画。
ワタシは自他ともに認める猫廃人だが、ここまで我が心を射抜いた猫漫画は今までなかった、と言い切ってもよい。
おそらくこれと双璧を成せるのは『くるねこ』くらい。
今年最大の収穫と言っても過言ではないよ。

腹巻して虫持ったブサブサな猫の表紙に惚れてジャケ買いした一冊だが、その後百回は読み返した。
あげく猫好きの友人へのギフトは全てこの本になった。
一応続巻に向けてネット連載も進んでいるようなので、首を長くして待っている。
この一冊のおかげで、今年後半の日々の幸せ度が一割がた上がったと言ってもよろしい。

それにしても、こんな作品がTwitter経由でふらふら出てくるあたり、日本の漫画界の可能性は、まことに底知れないなあ。


さてあとは、小説と実用書・ノンフィクションに分けて6冊ずつ。
数を読んでいる割には、十冊上がるほどではなくて、でも分けると5冊じゃ足りない。
中途半端な気もするが、まあヨカロ。

最初に貼ってあるリンクで『本が好き!』に上げた感想に飛びます。
購入時は書影から飛んでもらえると、ワタシのところにチャリンと投げ銭が来るからヨロシクネ♪


〜小説編〜

 『雪の階』 奥泉 光
読み終わって、うわあ面白かった!と、まず。
600ページ近い長編で、前半特に緩々とした展開なのだが、不思議な語り口に騙くらかされるように気持ちよく読み続けてしまった。泉鏡花と内田百間の世界観を交えた歴史ミステリー&エンタメ超大作、と言おうか…?

雪の階 (単行本)
奥泉 光
中央公論新社
2018-02-07



『ミライミライ』 古川 日出男
ハイパー歴史改変ラップ音楽神話ファンタジー? 北海道が戦後ソ連の支配下に入って、その後日本全体とともに印日連邦としてインドと連邦を組んだ世界。奇想天外だが、ミョーに現実的でもある改変にちょっと震えた。
クレージーに面白い傑作だった。

ミライミライ
古川 日出男
新潮社
2018-02-27



今年はこうしてみると、奥泉光と古川日出男が二人とも素晴らしい小説を出してくれた年だったのか。
なんと素晴らしい!
打率が低いのと嘆いている場合じゃなかったナ。ヨカッタナ。

 『宝島』 真藤 順丈
戦後の沖縄を舞台に紡がれる神話の如き物語。独特の粘度のある語り口で、決して読みやすい話ではなく、思いがけず読み進めるのに時間がかかったがやめられなかった。複雑で濃いが可笑しさもある。素晴らしい物語だ。
真藤順丈は前作の『夜の淵をひと廻り』から気になっていた作家だが、ここにきて見事に大化け!
これは大きな賞を取りそうな一冊でもある。次作はどこに行くのだろう。本当に楽しみ!

宝島
真藤 順丈
講談社
2018-06-21



 『弧狼の血』 柚木裕子
骨太な警察小説で、相当に凄惨なシーンも出ては来るが無駄な粘度を感じない。女性作家だからこそ男性作家のハードボイルドによくある無駄な感傷や性的ファンタジーが排されて、濃厚な人間ドラマをキッチリ読ませる快挙。一気読みした。
映画の公開をきっかけに手に取ったのだが、映画の方もきっちりドロドロと生々しく血まみれで、原作にはないような切り口が別の作品として面白い。二度美味しい感じで、楽しませてもらった。
ちなみに今年出た続篇はどうもイマイチ。主人公の大上の存在感が、それほど強かったということだろうか。

孤狼の血 (角川文庫)
柚月裕子
KADOKAWA
2017-08-25



『ギケイキ 2』 町田 康
ギケイキ、つまり義経記。源義経の戦記物。町田康の独特の狂った繰り言のような語り口が、血生臭いはずの戦国軍記ものの世界にしっくりきて面白不思議な味わい。続篇までまたしばらく待つのかなあ。早く読みたい。



Α『ニードルス』 花村 萬月
70年代ロック小説。バンド結成、高校中退からメジャーデビューに至る青少年らの話。セックス&バイオレンスとドラッグに音楽。普段は読むと胃に凭れる独特の粘っこい文体がいい具合にテンポとうねりを生んでいた。



なんか今年読んだ小説って、ミョーにロック系と言えなくもない。
年末に映画『ボヘミアン・ラプソディー』を観て、どっぷり感動して以来クイーンを聞き続けていたりもする。
なんだコレ?
そういう流れが来てるのか?


〜ノンフィクション&実用書編〜

ナンダカンダと年に50〜60冊くらいは、小説でない本も読む。
小説の空想世界にばかりどっぷり嵌っていると、なんだかどうも疲れてきて、ちょっとサッパリしたくなるのだ。
この手の実用書は行間を読まずに事実だけ追えばいいから、読んでいるうちにいい具合に頭の中が中和されてくる感じが良い。

  愼罎離▲献納豆』 高野 秀行
納豆的なものを巡って、アジア一円に足を延ばしたルポルタージュ。ユルユルと馬鹿げているようで、非常に真摯な取材が楽しい。二年くらい積読山に沈めてしまって、本当にスマナカッタ!としみじみ反省したオモシロ本。次は何をやるのだろうか。この人からもちょっと目が離せない。



 『サハラ砂漠 塩の道を行く』 片平 孝
マリ共和国北部の伝説の町トンブクトゥから北に750キロに位置するタウデニ岩塩鉱山までの塩の交易ルートを、中世そのままのラクダのキャラバン(アザライ)で42日間かけて往復した旅行記。非常に貴重な記録だ。こういうクレージーな人がいるから世の中は面白い。



 『新・生産性立国論』 デービッド・アトキンソン
安定の面白さと緻密さで日本社会の矛盾をバッサリ切ってくれるアトキンソン。日本人は労働者としての質は世界屈指なのに、一人当たりGDP(つまり生産性)はスペインやギリシャ並みで、先進国中では最低。来たる人口減の危機に立ち向かうために、如何に生産性を上げていくか、という提言いろいろ。情緒的でない女性の社会進出促進論など、実にいいことを言ってくれるので新刊を読むのが楽しみな人だ。



 『空に向かってかっ飛ばせ』 筒香 嘉智
日本を代表する大打者、横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智の本。勝利至上主義、スパルタ指導の害、野球をシンプルに楽しむことの大切さ。 日本の少年野球人口の減少は、本当は少子化だけが問題なのではなく、指導者層や保護者にありがちな歪みが、野球本来の楽しさを損なっているためではないか? これから変わっていくべき日本の野球の姿を、筒香は熱を持って、しかしシンプルに語る。現在の日本の少年スポーツの在り方に一石を投じる本として、単にファン向けの本に留めたくない一冊だった。
来年こそは優勝しよう!



『わが日常茶飯』 中原 蒼二
我が地元横浜で頑張る星羊社の出した力作。骨太な食エッセイとシンプルだが滋味深そうな料理の数々。装丁も写真もふんわりいい味を出している。たまに眺めては作り、で楽しく過ごさせてくれた一冊。



Α 悒吋襯 再生の思想』 鶴岡 真弓
古代ケルトの四季を追う形で、ハロウィンの背後にあるケルト文化を解き明かした快著。おかげで目から鱗がボロボロ落ちた。




今年の変化をもう一つ。
地元の横浜の図書館だけでは、どうもいま一つ新刊の調達が追い付かないので困っていたのだが、最近の職場の関係で、まず八王子、そして品川の図書館と縁が出来たのは有難かった。
特に品川は素晴らしい。夏前に近辺で仕事をした関係で、偶然立ち寄る機会があったのは幸いだった。
何しろここの図書館は、新刊の入荷が早くて、回ってくるペースも早い。しかも誰でも使える。
地域の図書館でここまで差があることに、いままであまり気付いていなかった迂闊よ・・・!
ただ、おかげで返却期限に振り回されていたりもするので、今年はほどほどにしようかなと思ってもいるのだが。


今年も楽しく本が読めますように♪



arima0831 at 02:58│Comments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

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