ロンドン
December 31, 2017
ロンドンうろちょろ徘徊記 其の五 〜街を歩き、花を愛で、またパイを喰う~
ロンドンの街歩きは楽しい。
歩き出してまず、なんとなくほっとする。
道に車がいなければ、人々は当たり前のように信号を無視して道を渡るのだ。
海外に長く住んでから日本に戻って、どうも窮屈なのがこの信号事情だったなあ、と思いだす。
日本ではほぼ完ぺきに信号とは「守るべきもの」。ワタシの場合、それでも自己責任でちょいちょい信号無視をするのだが、たいがいちょっと驚かれたり、軽い非難の視線に見舞われたりする。いいじゃんか、信号は車を止めるためのもので、人を止めるためのものじゃないんだし、と内心反駁しながら渡るのだが、やはり無意識下で面倒臭さは付きまとう。
しかも子供やお年寄りが横にいる時は、つられて路上に出てくる可能性があるので、そっちも気にしなければいけない。くー、メンドクセエ、としばしば思う。慣れたけどね。十年以上かけて。
ロンドンではそれが無い。
しかも信号ではきちんと車が止まる。
そして誰かが道を渡ろうとしているのを運転者が見ると、原則まずはブレーキを踏む。
どうでもいいことのようだが、ヨーロッパ圏で圧倒的多数にあるのは「歩行者が道を渡るのを見た運転者がアクセルを踏む国」だと思う。止まって渡らせようとするのではなく、さっさと通り過ぎる、という反応だ。そこが感覚的にわかっていれば、とりあえず飛び出して轢かれることはないのだが、信号のないところではとにかく道が渡りにくい。
これはあくまでも極私的なスタンダードなのだが、国民性的な穏やかさはこの辺の反応に出るのではないかなあ、とずいぶん昔から思っている。端的に仕分けるとまずい状況も色々あるのだろうが、やはりブレーキを踏んで歩行者を先に行かせてやる、という反応が自然と出る国は、人が穏やかでマナーも良いような気がするのだ。
例えばごく短期的な観察だったが、香港ではアクセルを踏み、マカオではブレーキを踏む。ドイツなんてどこもかしこもアクセル。トルコやギリシャもほぼアクセル型だったなあ・・・。
30年前のカイロは「ブレーキを踏む国」だったのに、五年ほどして舞い戻ったら「アクセル踏み込み型」が多数派になっていて面喰ったことがある。危うく轢かれるところだった。一つの国も同じであり続けるわけではない。ちなみに日本でも、最近はたまにアクセルを踏む馬鹿を見かけるようになったのは嘆かわしい。
良し悪しの問題ではなく、こういうことに国民性がなんとなく見えて面白い。
だからどこに行っても、まず道を渡りながらこの辺を観察してしまう。
ロンドンの街には古い建物が立ち並ぶ。
クラシックな街並みだが、区画ごとに少しずつ雰囲気が違う。
そんなグラデーションを追っていくうちに、あっという間に二時間くらい歩き続けている。
散歩が非常に楽しい街だ。巨大な古都に独特の力を感じる。
中世の街づくりに基づく街並みが多く残っているのだから、徒歩移動が生活の基本となっている時代の名残なのかもしれない。よくワカランが。
しかも治安が良いから、手回り品や懐中物にピリピリしなくてよいのも有難い。
歩き回っていて目につくのが、街路のごく当たり前な植栽など。
これが実に自然で美しいのだ。

そこらのマンションの横にあるありふれた植栽が、実にしっとりとイイ感じ。
あちこちで思わず足を止めては眺めてしまう。
生命力の強い様々な野花が、ひっそりと豪華に咲き乱れている。
8月はこんな感じの藤袴をあちこちでよく見かけた。菊と樟脳を掛け合わせて淡くしたような芳香も同じ。関東では秋の花だが、ロンドンはやはりちょっと寒いところなのだな。
しばらくあちこちで見ているうちに、案外原則「植えたら植えっぱなし」ではあるらしい、とは思ったが、とりあえず、こうした植栽を作るときに、先にどうなるのかをプロジェクトしてから植えていく精神はあちこちに感じられる。よろしいんじゃないでしょうか。
正直日本で公共の場なんかの植栽を見ていると、なんだかよくわからないモヤモヤした気分になるのだが、ロンドンに来てその正体がスッキリと分かった。
日本にも確かに美しい植栽はあるのだが、たいてい季節ごとに植えては引っこ抜いて植え替え、の繰り返しなのだ。そうかなるほど、その虚しさに漫然と不満を感じていたんだな。
横浜公園のチューリップなど、その最たるもので、見るたびになんだかゲンナリする。
庭造りや自然との共生は、確かにイギリスに学ぶところがありそうだ。
ありふれた自然を上手く取り込んで共生する技、と言おうか。
哲学と言ってもよい。
実は、日本の田舎町に忽然とイングリッシュ・ガーデンと称する施設が現れたり、何かを勘違いしたような奥様方がザアマス的に熱く語ったりするのを聞くにつけ、なんとなく馬鹿にしていたワタシだったのだが。
侮っていたのを深くお詫びしたい気持ちである。スミマセンでした。平伏平伏。
街のいたるところに、様々な形の公園がある。
大きな木があって、花があって、芝生とベンチがある。
疲れたら一息入れられる場所が至るところにある。
ついでに喉が渇けばパブもある。
パブには安くて美味しいエールがある。
イイところじゃないか、ロンドン。
何故に今のいままで喰わず嫌いを通してしまったのだろう。
やれやれ、こんなことならもっと早く来てみればよかったよ。
では次にひとつ、大きな公園も見たいね、とRegent’s Parkへ。

数年前に作られた人工の池だとか。
鳥がのどかに日向ぼっこしている。

人が寄ると一応避けて移動はするのだが、特に怯えることもない。
平然と昼寝を続ける強者も多数。

鷺もそこいら辺をふらふらしている。
いいのかそれで、と思うほど
間近をボヤッと歩き回っている。

そして素晴らしい薔薇園。
実によく丹精されていながら、なんだか自然な風情で群生しているのが不思議。
ダイナミックな広がりから、豪奢な香りが立ち上ってうっとりする。

そしてなんとなく、夜もう一つパイを食べた。
シェパーズ・パイというもの。

表面焼いてあるが、要はマッシュドポテトとグレービーで煮たひき肉の重ね焼き。素朴でウマイ。
本来は「羊飼いのパイ」だから、羊肉を使うものらしいが、この日の肉が何だったのかは記憶なし。
サラダと煮野菜をサイドに付けてもらった。
イギリスのメシって、皆が言うほど不味くないじゃん、などと思う。
あとで聞いたら、ユーロ導入からオリンピック開催にかけて、大幅に改善されたのだそうだ。
昔は本当にひどかったらしい。

寮の近所のパブで食べたのだが、ここのオヤジのしゃべる英語が衝撃的なほど理解不能。
いわゆるコクニーというものらしい。
「今日の料理」を二回聞きなおしたところで、唯一聞き取れたのがこれだ。
一日中歩き回って草臥れていたし、ま、ウマカッタからよかったのだ、と思う。
エールは安定の旨さ。
こんな古い時計はどこのパブにでもあるな。
ちなみに、万歩計の歩数は連日二万歩越え。
ううむ、このくらい歩いていれば、あのパイを毎日食べても大丈夫かなあ・・・などと思いながら寝た。
(つづく。だって、恋に堕ちた話をまだしていないもの・・・?)
帰国後ついウッカリ買っちまった本二冊(まだ積読山中)。
歩き出してまず、なんとなくほっとする。
道に車がいなければ、人々は当たり前のように信号を無視して道を渡るのだ。
海外に長く住んでから日本に戻って、どうも窮屈なのがこの信号事情だったなあ、と思いだす。
日本ではほぼ完ぺきに信号とは「守るべきもの」。ワタシの場合、それでも自己責任でちょいちょい信号無視をするのだが、たいがいちょっと驚かれたり、軽い非難の視線に見舞われたりする。いいじゃんか、信号は車を止めるためのもので、人を止めるためのものじゃないんだし、と内心反駁しながら渡るのだが、やはり無意識下で面倒臭さは付きまとう。
しかも子供やお年寄りが横にいる時は、つられて路上に出てくる可能性があるので、そっちも気にしなければいけない。くー、メンドクセエ、としばしば思う。慣れたけどね。十年以上かけて。
ロンドンではそれが無い。
しかも信号ではきちんと車が止まる。
そして誰かが道を渡ろうとしているのを運転者が見ると、原則まずはブレーキを踏む。
どうでもいいことのようだが、ヨーロッパ圏で圧倒的多数にあるのは「歩行者が道を渡るのを見た運転者がアクセルを踏む国」だと思う。止まって渡らせようとするのではなく、さっさと通り過ぎる、という反応だ。そこが感覚的にわかっていれば、とりあえず飛び出して轢かれることはないのだが、信号のないところではとにかく道が渡りにくい。
これはあくまでも極私的なスタンダードなのだが、国民性的な穏やかさはこの辺の反応に出るのではないかなあ、とずいぶん昔から思っている。端的に仕分けるとまずい状況も色々あるのだろうが、やはりブレーキを踏んで歩行者を先に行かせてやる、という反応が自然と出る国は、人が穏やかでマナーも良いような気がするのだ。
例えばごく短期的な観察だったが、香港ではアクセルを踏み、マカオではブレーキを踏む。ドイツなんてどこもかしこもアクセル。トルコやギリシャもほぼアクセル型だったなあ・・・。
30年前のカイロは「ブレーキを踏む国」だったのに、五年ほどして舞い戻ったら「アクセル踏み込み型」が多数派になっていて面喰ったことがある。危うく轢かれるところだった。一つの国も同じであり続けるわけではない。ちなみに日本でも、最近はたまにアクセルを踏む馬鹿を見かけるようになったのは嘆かわしい。
良し悪しの問題ではなく、こういうことに国民性がなんとなく見えて面白い。
だからどこに行っても、まず道を渡りながらこの辺を観察してしまう。
ロンドンの街には古い建物が立ち並ぶ。
クラシックな街並みだが、区画ごとに少しずつ雰囲気が違う。
そんなグラデーションを追っていくうちに、あっという間に二時間くらい歩き続けている。
散歩が非常に楽しい街だ。巨大な古都に独特の力を感じる。
中世の街づくりに基づく街並みが多く残っているのだから、徒歩移動が生活の基本となっている時代の名残なのかもしれない。よくワカランが。
しかも治安が良いから、手回り品や懐中物にピリピリしなくてよいのも有難い。
歩き回っていて目につくのが、街路のごく当たり前な植栽など。
これが実に自然で美しいのだ。


あちこちで思わず足を止めては眺めてしまう。
生命力の強い様々な野花が、ひっそりと豪華に咲き乱れている。
8月はこんな感じの藤袴をあちこちでよく見かけた。菊と樟脳を掛け合わせて淡くしたような芳香も同じ。関東では秋の花だが、ロンドンはやはりちょっと寒いところなのだな。
しばらくあちこちで見ているうちに、案外原則「植えたら植えっぱなし」ではあるらしい、とは思ったが、とりあえず、こうした植栽を作るときに、先にどうなるのかをプロジェクトしてから植えていく精神はあちこちに感じられる。よろしいんじゃないでしょうか。
正直日本で公共の場なんかの植栽を見ていると、なんだかよくわからないモヤモヤした気分になるのだが、ロンドンに来てその正体がスッキリと分かった。
日本にも確かに美しい植栽はあるのだが、たいてい季節ごとに植えては引っこ抜いて植え替え、の繰り返しなのだ。そうかなるほど、その虚しさに漫然と不満を感じていたんだな。
横浜公園のチューリップなど、その最たるもので、見るたびになんだかゲンナリする。
庭造りや自然との共生は、確かにイギリスに学ぶところがありそうだ。
ありふれた自然を上手く取り込んで共生する技、と言おうか。
哲学と言ってもよい。
実は、日本の田舎町に忽然とイングリッシュ・ガーデンと称する施設が現れたり、何かを勘違いしたような奥様方がザアマス的に熱く語ったりするのを聞くにつけ、なんとなく馬鹿にしていたワタシだったのだが。
侮っていたのを深くお詫びしたい気持ちである。スミマセンでした。平伏平伏。
街のいたるところに、様々な形の公園がある。
大きな木があって、花があって、芝生とベンチがある。
疲れたら一息入れられる場所が至るところにある。
ついでに喉が渇けばパブもある。
パブには安くて美味しいエールがある。
イイところじゃないか、ロンドン。
何故に今のいままで喰わず嫌いを通してしまったのだろう。
やれやれ、こんなことならもっと早く来てみればよかったよ。
では次にひとつ、大きな公園も見たいね、とRegent’s Parkへ。

数年前に作られた人工の池だとか。
鳥がのどかに日向ぼっこしている。

人が寄ると一応避けて移動はするのだが、特に怯えることもない。
平然と昼寝を続ける強者も多数。

鷺もそこいら辺をふらふらしている。
いいのかそれで、と思うほど
間近をボヤッと歩き回っている。

そして素晴らしい薔薇園。
実によく丹精されていながら、なんだか自然な風情で群生しているのが不思議。
ダイナミックな広がりから、豪奢な香りが立ち上ってうっとりする。

そしてなんとなく、夜もう一つパイを食べた。
シェパーズ・パイというもの。

表面焼いてあるが、要はマッシュドポテトとグレービーで煮たひき肉の重ね焼き。素朴でウマイ。
本来は「羊飼いのパイ」だから、羊肉を使うものらしいが、この日の肉が何だったのかは記憶なし。
サラダと煮野菜をサイドに付けてもらった。
イギリスのメシって、皆が言うほど不味くないじゃん、などと思う。
あとで聞いたら、ユーロ導入からオリンピック開催にかけて、大幅に改善されたのだそうだ。
昔は本当にひどかったらしい。

寮の近所のパブで食べたのだが、ここのオヤジのしゃべる英語が衝撃的なほど理解不能。
いわゆるコクニーというものらしい。
「今日の料理」を二回聞きなおしたところで、唯一聞き取れたのがこれだ。
一日中歩き回って草臥れていたし、ま、ウマカッタからよかったのだ、と思う。
エールは安定の旨さ。
こんな古い時計はどこのパブにでもあるな。
ちなみに、万歩計の歩数は連日二万歩越え。
ううむ、このくらい歩いていれば、あのパイを毎日食べても大丈夫かなあ・・・などと思いながら寝た。
(つづく。だって、恋に堕ちた話をまだしていないもの・・・?)
帰国後ついウッカリ買っちまった本二冊(まだ積読山中)。
November 04, 2017
ロンドンうろちょろ徘徊記 其の四 〜とりあえずパイを喰う〜
前夜の激しい雨が嘘のように、青空冴えるロンドン。
実際この後、しばらくは好天が続いて、雨のロンドンとか霧のロンドンとかって、いったいどこの話だよ、という感じになった。
ロンドンの住民に言わせると、この後の十日間くらいは、ロンドンらしからぬ
ステキなお天気だったそうだ。
あっそう。ワタシは傘が差せない時にいきなり土砂降られたけれどな・・・。
寮には三週間ほど滞在するので、とりあえず諸々の日用品の買い出しを兼ねて散歩に出た。
先ず目指すはスーパーマーケット、そしてロンドン的な百円ショップと食料品の調達ができる店を見つけなければイカン。
でもまあ、腹が減っては戦はできぬので、まずはイギリスらしきものを食べてみようと、近所のパブに。
ぶらぶら歩いて、まずはありふれた感じの大きな店に入ってみた。
その名もわかりやすく「London Pub」。
場所はラッセルスクエアの近くで、大英博物館も近い。

Chicken & Wiltshire Ham Pie with Chips, Peas & Gravyというヤツ。
あとエールを1パイント。
このポテトはいらんな。クリスピーで美味しいけれど、毎日こんなものを食べていたらカロリー過剰で宇宙まで飛べてしまうぞ、とか言いながら、たっぷりついたグレービーソースが意外にいけて全部食べてしまった。
やばい。いやまあ、イイカ初回くらいは。
グリーンピースのソテーが一山ついていて、ポテトの向こう側に隠れている。冷凍ものだろうが、一応野菜が付いているのはイイネ、とこれもワシワシ食べる。
これが一人前£9.50。1ポンドが百円だったらよいのだが、実際は150円だから、まあ結構いい値段ではある。
パイの中には、ハムとチキンをホワイトソースで煮込んだシチュー。
サクサクとしたパイ皮を切り広げると、ふわっとイイ感じの湯気が上がる。
舌を火傷しそうになりながら、フッハフッハといただく。
意外性はないが、とりあえず間違いなくオイシイ♪
その他メニューはこちら。参考までに。
明るい窓際の席で、エールを飲みながらぼんやり外を眺めていると、もうこのままここで午後を過ごしてもいいんじゃないかなあ、と思えてくる。
こういう粘度の薄い黒っぽいビールは大好物だから、とってもシアワセだ。
何故かクリーミーな泡は否定して注ぐスタイル(?)のようだが。ビールの味わいは注ぐときの泡立ちが肝心、とドイツでも日本でも言っていると思うのに、エールの泡は見事に注いで即消えて特別気にもされていない。この後、エールはどこで飲んでも見事に泡はどうでもイイゼ!な感じだったので、そういうものらしい(でもドウシテ?誰か教えてください)。
パブにはこの後、あっちこっちでお世話になった。
こんな感じのわかりやすい食事が、安くはないがまあイイカと思えるくらいの値段で食べられる。
しかも多くが午後通し営業で、酒を飲もうが飲むまいが、机を長時間占拠しようが、とりあえずお構いなしで過ごせるのは有難い。一人ならば一人なりに、連れがいたらそれなりに、グループで盛り上がろう思えばそれもOKと、実にわかりやすく使いやすい。しかもビールが安い。
そういえば・・・とネットを覗くと、日本ではなんともう野球が終わっているではないか。時差があるから当然なのだが、なんだかミョーに感心する。
いや、実はそれは部屋を出る段階でわかっていたのではある。もうちょっとでニコニコ動画の中継配信にアクセスしそうになったのだが、心を鬼にして部屋を出たのだ。
ロンドン到着初日に日本のナイターを眺めて過ごすのも、まあある意味革新的で乙なのではないかなあ、とかナントカ悪魔の理屈をこねる身中のナニモノカに喝を入れて、キッパリ外出した自分を褒めてやりたい。是非褒めてください。
ダメ?
そんなこんなで、パブに根が生えかけた自分に気合を入れて立ち上がり、陽射し明るい街をさらに歩く。
週明けから通う大学の校舎の入口まで行ってみた。
この校舎はCruciformと呼ばれていて
上から俯瞰すると文字通り十字型の建物。
をを、なんとステキな校舎!と
思わずテンションが上がる。
でも実際のところ、こういうクラシックな建物って
中の構造がむやみに入り組んでいて
もうちょっとした迷路状。
校舎を抜けてどこかに行こうとすると確実に迷う。
慣れるまでは何度も学内で遭難しそうになった。
おかげで級友同士で仲良く連れ立ち
次の授業に向かうことになるので
学生同士の連帯は深まったのだが・・・
とりあえずここでは「きゃあステキ」とはしゃいで盛り上がるワタシ。
メデタイことだ。


大学の本屋さんもついでに覗いたら、これがまた素晴らしい。
広々とした大型書店並みのスペース。クラシックな内装にゆったりとしたレイアウトで、随所に椅子なんかも置かれている。
圧迫感がなくて落ち着く。
イイナ、こういう店・・・♪
左側は旅行本コーナー。
大学周辺にワタシのようなオノボリも山ほどいるせいだか、旅行書が非常に充実していて、ロンドンのガイドブックなども色々。
ついでに地下に行ったら、ワンフロア分が中古書だった。
こっちはやや殺風景だが、それでも居並ぶ書籍の物量になんだか圧倒される。
確かにここは街のど真ん中で旅行者も多い場所だけに、学生だけがやってくる場所でもないのだろうが、大学の書店がこれだけの内容と品ぞろえを誇っているって、本当にステキなことだ。
そもそも多くの日本の書店によくあるように、長居をするとミョーに気持ちがササクレ立って来る感じがしない。
やばいやばい、こんなところにいると、午後中出てこられなくなってしまうぞ…
ということで、とりあえずざっと見るにとどめて店を出る。
その後この店には、授業の休み時間など、折りに触れ心を和ませてもらった。
横浜のワタシの身辺にも、こんなイイ感じの書店があったらいいのになあ…。
ロンドンの街を歩いていると、まず緑濃いことに驚かされる。
街中いたる所に大小さまざまな公園があって、巨大な木々の下には適宜ベンチがあるから、くたびれるとぼんやり座って一息入れてはまた歩く。
治安も良いので、手回り品の所在にピリピリする必要もほぼ無く、ただてくてくと歩き続けたら簡単に二時間くらい過ぎてしまう街だ。本当に散歩が楽しい。
そして街を歩いていると、至る所から聞こえてくる英語は、かつて馴染んだアラブ訛りにまみれているではないか。
寮の近所のキオスクは軒並みそういう人たちの経営だし、オックスフォード・サーカス辺りを歩いていたら、観光リキシャが昔懐かしいエジプト歌謡曲を大音量で流しながら、きこきこと走りすぎて行くし。わりと庶民的なデパートに入れば、前に並んでいる母子は明らかにエジプト人だし。
生活圏は生活圏なりに、観光地は観光地なりに、どこもかしこもアラブ系人種が本当に多い。
とりあえずヨーロッパの大都市に行って、ここまでアウェー感が薄い場所は初めてだよなあ、などとよくわからないことを思う。よくワカランが、なんだかミョーに懐かしい街、ロンドンなのではあった。
(つづく。できればなんとか、また忘れたころにでも…)
結局ナンダカンダとお世話になった。
こんな新刊もあるらしい。ううう、欲しいなあ(ダメだってば)。
実際この後、しばらくは好天が続いて、雨のロンドンとか霧のロンドンとかって、いったいどこの話だよ、という感じになった。
ロンドンの住民に言わせると、この後の十日間くらいは、ロンドンらしからぬ
ステキなお天気だったそうだ。
あっそう。ワタシは傘が差せない時にいきなり土砂降られたけれどな・・・。
寮には三週間ほど滞在するので、とりあえず諸々の日用品の買い出しを兼ねて散歩に出た。
先ず目指すはスーパーマーケット、そしてロンドン的な百円ショップと食料品の調達ができる店を見つけなければイカン。
でもまあ、腹が減っては戦はできぬので、まずはイギリスらしきものを食べてみようと、近所のパブに。
ぶらぶら歩いて、まずはありふれた感じの大きな店に入ってみた。
その名もわかりやすく「London Pub」。
場所はラッセルスクエアの近くで、大英博物館も近い。

Chicken & Wiltshire Ham Pie with Chips, Peas & Gravyというヤツ。
あとエールを1パイント。
このポテトはいらんな。クリスピーで美味しいけれど、毎日こんなものを食べていたらカロリー過剰で宇宙まで飛べてしまうぞ、とか言いながら、たっぷりついたグレービーソースが意外にいけて全部食べてしまった。
やばい。いやまあ、イイカ初回くらいは。
グリーンピースのソテーが一山ついていて、ポテトの向こう側に隠れている。冷凍ものだろうが、一応野菜が付いているのはイイネ、とこれもワシワシ食べる。
これが一人前£9.50。1ポンドが百円だったらよいのだが、実際は150円だから、まあ結構いい値段ではある。
パイの中には、ハムとチキンをホワイトソースで煮込んだシチュー。
サクサクとしたパイ皮を切り広げると、ふわっとイイ感じの湯気が上がる。
舌を火傷しそうになりながら、フッハフッハといただく。
意外性はないが、とりあえず間違いなくオイシイ♪
その他メニューはこちら。参考までに。
明るい窓際の席で、エールを飲みながらぼんやり外を眺めていると、もうこのままここで午後を過ごしてもいいんじゃないかなあ、と思えてくる。
こういう粘度の薄い黒っぽいビールは大好物だから、とってもシアワセだ。
何故かクリーミーな泡は否定して注ぐスタイル(?)のようだが。ビールの味わいは注ぐときの泡立ちが肝心、とドイツでも日本でも言っていると思うのに、エールの泡は見事に注いで即消えて特別気にもされていない。この後、エールはどこで飲んでも見事に泡はどうでもイイゼ!な感じだったので、そういうものらしい(でもドウシテ?誰か教えてください)。
パブにはこの後、あっちこっちでお世話になった。
こんな感じのわかりやすい食事が、安くはないがまあイイカと思えるくらいの値段で食べられる。
しかも多くが午後通し営業で、酒を飲もうが飲むまいが、机を長時間占拠しようが、とりあえずお構いなしで過ごせるのは有難い。一人ならば一人なりに、連れがいたらそれなりに、グループで盛り上がろう思えばそれもOKと、実にわかりやすく使いやすい。しかもビールが安い。
そういえば・・・とネットを覗くと、日本ではなんともう野球が終わっているではないか。時差があるから当然なのだが、なんだかミョーに感心する。
いや、実はそれは部屋を出る段階でわかっていたのではある。もうちょっとでニコニコ動画の中継配信にアクセスしそうになったのだが、心を鬼にして部屋を出たのだ。
ロンドン到着初日に日本のナイターを眺めて過ごすのも、まあある意味革新的で乙なのではないかなあ、とかナントカ悪魔の理屈をこねる身中のナニモノカに喝を入れて、キッパリ外出した自分を褒めてやりたい。是非褒めてください。
ダメ?
そんなこんなで、パブに根が生えかけた自分に気合を入れて立ち上がり、陽射し明るい街をさらに歩く。
週明けから通う大学の校舎の入口まで行ってみた。

上から俯瞰すると文字通り十字型の建物。
をを、なんとステキな校舎!と
思わずテンションが上がる。
でも実際のところ、こういうクラシックな建物って
中の構造がむやみに入り組んでいて
もうちょっとした迷路状。
校舎を抜けてどこかに行こうとすると確実に迷う。
慣れるまでは何度も学内で遭難しそうになった。
おかげで級友同士で仲良く連れ立ち
次の授業に向かうことになるので
学生同士の連帯は深まったのだが・・・
とりあえずここでは「きゃあステキ」とはしゃいで盛り上がるワタシ。
メデタイことだ。


大学の本屋さんもついでに覗いたら、これがまた素晴らしい。
広々とした大型書店並みのスペース。クラシックな内装にゆったりとしたレイアウトで、随所に椅子なんかも置かれている。
圧迫感がなくて落ち着く。
イイナ、こういう店・・・♪
左側は旅行本コーナー。
大学周辺にワタシのようなオノボリも山ほどいるせいだか、旅行書が非常に充実していて、ロンドンのガイドブックなども色々。
ついでに地下に行ったら、ワンフロア分が中古書だった。
こっちはやや殺風景だが、それでも居並ぶ書籍の物量になんだか圧倒される。
確かにここは街のど真ん中で旅行者も多い場所だけに、学生だけがやってくる場所でもないのだろうが、大学の書店がこれだけの内容と品ぞろえを誇っているって、本当にステキなことだ。
そもそも多くの日本の書店によくあるように、長居をするとミョーに気持ちがササクレ立って来る感じがしない。
やばいやばい、こんなところにいると、午後中出てこられなくなってしまうぞ…
ということで、とりあえずざっと見るにとどめて店を出る。
その後この店には、授業の休み時間など、折りに触れ心を和ませてもらった。
横浜のワタシの身辺にも、こんなイイ感じの書店があったらいいのになあ…。
ロンドンの街を歩いていると、まず緑濃いことに驚かされる。
街中いたる所に大小さまざまな公園があって、巨大な木々の下には適宜ベンチがあるから、くたびれるとぼんやり座って一息入れてはまた歩く。
治安も良いので、手回り品の所在にピリピリする必要もほぼ無く、ただてくてくと歩き続けたら簡単に二時間くらい過ぎてしまう街だ。本当に散歩が楽しい。
そして街を歩いていると、至る所から聞こえてくる英語は、かつて馴染んだアラブ訛りにまみれているではないか。
寮の近所のキオスクは軒並みそういう人たちの経営だし、オックスフォード・サーカス辺りを歩いていたら、観光リキシャが昔懐かしいエジプト歌謡曲を大音量で流しながら、きこきこと走りすぎて行くし。わりと庶民的なデパートに入れば、前に並んでいる母子は明らかにエジプト人だし。
生活圏は生活圏なりに、観光地は観光地なりに、どこもかしこもアラブ系人種が本当に多い。
とりあえずヨーロッパの大都市に行って、ここまでアウェー感が薄い場所は初めてだよなあ、などとよくわからないことを思う。よくワカランが、なんだかミョーに懐かしい街、ロンドンなのではあった。
(つづく。できればなんとか、また忘れたころにでも…)
結局ナンダカンダとお世話になった。
こんな新刊もあるらしい。ううう、欲しいなあ(ダメだってば)。
October 23, 2017
ロンドンうろちょろ徘徊記 其の三 〜雨のロンドンにたどり着く〜
台北からようやくロンドン行きに乗った。
正直もう台北で残りの夏を過ごしていい!と思うくらい気に入ってはいたのだが、そうも言ってはいられない。
成田でとりあえず振られた席は最前列で、足元に荷物が収納できない。
四の五のゴネたら、バンコクまでは満席だから堪えてくれろ、そこから先は動かしてあげるよ、との由。
昨今のフライトは「ネットで席を事前予約」という小賢しい真似ができるのを、迂闊にもすっかり忘れていた。
この先も至る所で思い知るのだが、本当に情けなくなるほど「昔の人」なワタシ。やれやれ。これではイカン。
そしてバンコクで希望の窓際席に移動したところ、なんと手前の二席にはスーパー重量超過級の夫婦が、推定250キロ分ほどミッチミチに詰まっているではないか。あ〜あ、と内心タメイキをつくが、死に物狂いの笑顔で残念な感じを押し殺す。先方も十分申し訳なさそうにしているし、ワタシが座った端の一席が空いていそうなところに、かなり真剣な願をかけていた模様なのでもあるし。
こういう不運は安い席だとしばしば起きる。
この二人は臭くないからまだイイヨ。
過去最大の悲運は、某アフリカ系エアラインで、目に沁みて涙がにじむほどキョーレツな腋臭のガーナ人の横に席を振られたケース。あの18時間に比べればまだ耐えられる、と昔のことを思い出してみた。
我が取り柄は身の軽さである。
通路に出る時は二人を座らせたまま「はいゴメンネ〜」と、座席の手すりを足場に軽やかに跨ぎ渡っていけばよい。それだけのことだ。二人にはなんとなく感心されたのだが。いや、迷惑がっていたのかもしれないが、とりあえずそこのところは考えないでおく。そもそも通路に二人立たせると、いろいろ支障が起きそうなくらいの重量感だったのだし。
到着。ロンドンの入管の係官と暫し雑談。
冗談抜きで、本当に暫し雑談。
「混んでますねえ。夏休みだから?」
「いやいやいや、これは俺にしたらガラ空き。先週とかな、あの後ろのホール満杯に人が立ってたんだぞ。君は運がいい」
「へへー。そりゃあ驚いた」
「で、渡航の目的は?」
「短期留学です。UCLで集中講座があって、そこに参加します」
「ほほう、何を勉強するの?」
このくらいまでは普通の入管業務のフレンドリー版と言えるが・・・
「日本では何の仕事を?はあ、先生なんだ。学生って何歳くらい?何人くらい教えてるの?ふうん、出来はいいの?ダメか、そうか、アハハハハ。一か月かあ、けっこう長いねえ。ロンドンは初めて?ああ、古い方のパスポートに載っているわけね。ふうん。寮に住むんだ。住みやすいところだとイイネ。ああ、セントパンクラスならば場所は便利だなあ。それにしても英語ウマイねえ、どこで覚えたの?海外長いの?」
こんな調子で本当に楽し気にしゃべくりまくる係官。
ちなみにこれがイタリアだと夕食の予定まで聞かれたりすることもあるらしいが、ワタシ個人の資質の問題か、お国柄の違いか、そういう話は一切なく
「ロンドン、楽しんでね!」
と明るく優しく送り出してくれた。
つっけんどんな尋問調よりは楽しくてよろしいが、本当にこれでいいのか?!
こわごわ後ろを振り返ったら、相変わらずの長蛇の列だったり。
イギリス、とりあえず効率至上の国ではなさそう・・・と思いつつ地下鉄で街に向かう。
夜の九時を過ぎていたが、ロンドンの夏の日は長い。ようやく薄闇が外に滲み始める時分。
霧雨煙るロンドン郊外は緑濃い。ああ、ここはヨーロッパだなあ、と静かに暮れゆく外を眺めつつちょっとぼんやりする。
で、最寄りのキングスクロス駅に着いたら、風情ある霧雨は無情の土砂降りに。
今回はワタシにしては大変賢く、折りたたみ傘をスーツケースのポケットに入れて、すぐ出せるようにはしてあったのだが、盲点だったのは「荷物で両手がふさがれる」という事態であった。嗚呼残念無念。
手は二本しかないので、やむを得ず濡れながら荷物を引きずって歩く。
しかも道に迷った。駅のすぐ近くなのは間違いないのだが、夜でもあって方向がさっぱりわからない。
なんてこった。
四の五の言わずに、どんな近距離でもタクシーに飛び乗ればよかったのだ。
馬鹿バカばか、と己を呪うも空し。
で、ずぶ濡れでどうにか辿りついたら「到着予定も予約も申し送られていない」とやらで、夜番の警備担当者はどこぞかに電話をかけ、誰かがどこかからやってきて「ちょっと待ってね」とどこかに走っていって・・・と更に小一時間。
笑う気力もなく玄関でヘタっていたら、ようやく部屋の鍵がもらえた。
やれやれ。
嗚呼やれやれ。
>
部屋は誠に簡素なものだが、キッチンは広々して清潔だ。
シャワーのお湯も途中で止まることはないそうで(ここはまずフロントで確かめた)、水圧は顔に刺さって痛いほど。
ちょっとショボいが、まあヨカロ、ということで、適宜巣作りに励んでから寝た。

翌朝起きて外を見たら
セントパンクラス駅の豪勢なファサードが
すぐ目と鼻の先に見えていた。
これはキングスクロス駅の隣の建物で
歩けばほんの数分なのだけれど
たったこれだけの距離を
篠突く雨の中で三十分余りも徘徊したのだよ。
ゴクローなことだ。
まあ、風邪をひかなかったから良しとして、とりあえず街に出てみることにした。
(つづく。たぶんまた忘れたころに・・・)
ちなみに寮はコレ↓
John Dodgeson House
夏の間は一泊単位でも泊まれて、普通に予約すると一泊55ポンドほど。
これでもこの辺りの安宿価格的にはかなり安いそうな。
ステキとは言い難いが、ロケーション抜群で設備的にも過不足ないので、案外居心地は悪くなかった。
それにしてもロンドンのホテルは高い!
適宜ゆるく笑いつつ、なんとなく参考に読んだイギリス文化ネタ。とりあえず楽しく読めます。

プラスニコ 折りたたみ傘 手開き 先染め タータン チェック レッド 全3色 8本骨 65cm EE-02987
こんな感じの赤いタータンチェックの折り畳み傘を現地で買ったが、イマイチ恥かしくてロンドンでは差せませんでしたとさ(笑)。
正直もう台北で残りの夏を過ごしていい!と思うくらい気に入ってはいたのだが、そうも言ってはいられない。
成田でとりあえず振られた席は最前列で、足元に荷物が収納できない。
四の五のゴネたら、バンコクまでは満席だから堪えてくれろ、そこから先は動かしてあげるよ、との由。
昨今のフライトは「ネットで席を事前予約」という小賢しい真似ができるのを、迂闊にもすっかり忘れていた。
この先も至る所で思い知るのだが、本当に情けなくなるほど「昔の人」なワタシ。やれやれ。これではイカン。
そしてバンコクで希望の窓際席に移動したところ、なんと手前の二席にはスーパー重量超過級の夫婦が、推定250キロ分ほどミッチミチに詰まっているではないか。あ〜あ、と内心タメイキをつくが、死に物狂いの笑顔で残念な感じを押し殺す。先方も十分申し訳なさそうにしているし、ワタシが座った端の一席が空いていそうなところに、かなり真剣な願をかけていた模様なのでもあるし。
こういう不運は安い席だとしばしば起きる。
この二人は臭くないからまだイイヨ。
過去最大の悲運は、某アフリカ系エアラインで、目に沁みて涙がにじむほどキョーレツな腋臭のガーナ人の横に席を振られたケース。あの18時間に比べればまだ耐えられる、と昔のことを思い出してみた。
我が取り柄は身の軽さである。
通路に出る時は二人を座らせたまま「はいゴメンネ〜」と、座席の手すりを足場に軽やかに跨ぎ渡っていけばよい。それだけのことだ。二人にはなんとなく感心されたのだが。いや、迷惑がっていたのかもしれないが、とりあえずそこのところは考えないでおく。そもそも通路に二人立たせると、いろいろ支障が起きそうなくらいの重量感だったのだし。
到着。ロンドンの入管の係官と暫し雑談。
冗談抜きで、本当に暫し雑談。
「混んでますねえ。夏休みだから?」
「いやいやいや、これは俺にしたらガラ空き。先週とかな、あの後ろのホール満杯に人が立ってたんだぞ。君は運がいい」
「へへー。そりゃあ驚いた」
「で、渡航の目的は?」
「短期留学です。UCLで集中講座があって、そこに参加します」
「ほほう、何を勉強するの?」
このくらいまでは普通の入管業務のフレンドリー版と言えるが・・・
「日本では何の仕事を?はあ、先生なんだ。学生って何歳くらい?何人くらい教えてるの?ふうん、出来はいいの?ダメか、そうか、アハハハハ。一か月かあ、けっこう長いねえ。ロンドンは初めて?ああ、古い方のパスポートに載っているわけね。ふうん。寮に住むんだ。住みやすいところだとイイネ。ああ、セントパンクラスならば場所は便利だなあ。それにしても英語ウマイねえ、どこで覚えたの?海外長いの?」
こんな調子で本当に楽し気にしゃべくりまくる係官。
ちなみにこれがイタリアだと夕食の予定まで聞かれたりすることもあるらしいが、ワタシ個人の資質の問題か、お国柄の違いか、そういう話は一切なく
「ロンドン、楽しんでね!」
と明るく優しく送り出してくれた。
つっけんどんな尋問調よりは楽しくてよろしいが、本当にこれでいいのか?!
こわごわ後ろを振り返ったら、相変わらずの長蛇の列だったり。
イギリス、とりあえず効率至上の国ではなさそう・・・と思いつつ地下鉄で街に向かう。
夜の九時を過ぎていたが、ロンドンの夏の日は長い。ようやく薄闇が外に滲み始める時分。
霧雨煙るロンドン郊外は緑濃い。ああ、ここはヨーロッパだなあ、と静かに暮れゆく外を眺めつつちょっとぼんやりする。
で、最寄りのキングスクロス駅に着いたら、風情ある霧雨は無情の土砂降りに。
今回はワタシにしては大変賢く、折りたたみ傘をスーツケースのポケットに入れて、すぐ出せるようにはしてあったのだが、盲点だったのは「荷物で両手がふさがれる」という事態であった。嗚呼残念無念。
手は二本しかないので、やむを得ず濡れながら荷物を引きずって歩く。
しかも道に迷った。駅のすぐ近くなのは間違いないのだが、夜でもあって方向がさっぱりわからない。
なんてこった。
四の五の言わずに、どんな近距離でもタクシーに飛び乗ればよかったのだ。
馬鹿バカばか、と己を呪うも空し。
で、ずぶ濡れでどうにか辿りついたら「到着予定も予約も申し送られていない」とやらで、夜番の警備担当者はどこぞかに電話をかけ、誰かがどこかからやってきて「ちょっと待ってね」とどこかに走っていって・・・と更に小一時間。
笑う気力もなく玄関でヘタっていたら、ようやく部屋の鍵がもらえた。
やれやれ。
嗚呼やれやれ。


部屋は誠に簡素なものだが、キッチンは広々して清潔だ。
シャワーのお湯も途中で止まることはないそうで(ここはまずフロントで確かめた)、水圧は顔に刺さって痛いほど。
ちょっとショボいが、まあヨカロ、ということで、適宜巣作りに励んでから寝た。

翌朝起きて外を見たら
セントパンクラス駅の豪勢なファサードが
すぐ目と鼻の先に見えていた。
これはキングスクロス駅の隣の建物で
歩けばほんの数分なのだけれど
たったこれだけの距離を
篠突く雨の中で三十分余りも徘徊したのだよ。
ゴクローなことだ。
まあ、風邪をひかなかったから良しとして、とりあえず街に出てみることにした。
(つづく。たぶんまた忘れたころに・・・)
ちなみに寮はコレ↓
John Dodgeson House
夏の間は一泊単位でも泊まれて、普通に予約すると一泊55ポンドほど。
これでもこの辺りの安宿価格的にはかなり安いそうな。
ステキとは言い難いが、ロケーション抜群で設備的にも過不足ないので、案外居心地は悪くなかった。
それにしてもロンドンのホテルは高い!
適宜ゆるく笑いつつ、なんとなく参考に読んだイギリス文化ネタ。とりあえず楽しく読めます。

プラスニコ 折りたたみ傘 手開き 先染め タータン チェック レッド 全3色 8本骨 65cm EE-02987
こんな感じの赤いタータンチェックの折り畳み傘を現地で買ったが、イマイチ恥かしくてロンドンでは差せませんでしたとさ(笑)。
September 25, 2017
ロンドンうろちょろ徘徊記 其の二 〜到着するまでにウマイもんを喰って・・・〜~
ああだこうだ言いながら、ずるずるとロンドンに向かう。
先ずはこんなホテルに・・・。

ナニコレ?
ロンドンなのに何故・・・?
いや、ナンダカンダと、台北経由なんですよな。
実はこの数年、これもまた行くぞ行くぞ!と言い続けていたのが台湾だったりしたのだけれど、ロンドン行きの航空券を買おうとしたら、な~んと最安値がエバー航空なる台湾の航空会社だったわけで。
をを、なんとこれは!と、一石二鳥を狙ったワタシである。
で、とりあえずこれが案外立派なホテルだが・・・

おわかりいただけるだろうか。
このホテル周辺には、まったく何もない、ということを。
茫漠とした野原のド真ん中に一軒ドーンと建っているのだ。
この写真は最寄りの地下鉄駅から撮ったんだけれど、徒歩五分とは言えけっこう怖いくらいの往復ではあった。
ホテルのフロントに聞いたら「ここをまっすぐ行ってね~!」と明るく送り出してくれたところを見ると、危険はないらしいが。要するにここは治安が良いのだな、と勝手に納得して前進した。
人間は大丈夫でも、意外に野犬がいたりするからなあ・・・とは思ったがいなかった。でもやっぱりちょびっと怖かったです。
翌朝は早朝発だったので、とりあえず空港近くでテキトーに取った宿で、たかだか一泊六千円位なのに、やけに御立派な部屋ではあった。桃園空港まではタクシーで500円位。近くて便利ではある。ローカルなチェーン系で、台北市内に複数展開しているみたい。
シティスイーツ桃園ゲートウェイ(城市商旅航空館)(CITY SUITES GATEWAY HOTEL)
ちなみに部屋はこんな感じ。

台北の空港はゲンナリするほど混んでおり、通関待ちがおよそ一時間強。
この間ずらっと並んで立って待つので、けっこうウンザリするが、文庫本を読み続けて凌ぐ。
中々胸に刺さる話だったので、通関待ちの列で号泣しそうになった。
ここで怪しまれて入国拒否なんぞされたらたまらんので、涙腺に気合で圧をかけ蓋をする。
スゲー顔になっていたはずだが、なんとか入国はできた。やれやれ。
(ちなみにこれは犬ものの傑作。本年度極私的第一位になる、かも?!)
さて、通関の思わぬ待ち時間のせいで、ホテル着は夜もいい加減遅かったのだが、とにかく町の匂いだけでも嗅いでいきたい。
フロントに市内中心部にはどうやって行けばいいの、と尋ねると、なんと地下鉄で一時間かかるヨ、とのお返事である。
えーー!一時間!!
成田並みだろうがそれは!!!
聞けば最近できたばかりの空港だ、との由。
あ、そうなんだ・・・。
しかしまあ、ホテルにいてもしょうがない(正しい判断だったことが歩き出してすぐにわかった)。麺粥の一杯なりとも、口にできることを期待して、誰もいない駅から地下鉄に乗る。
ガラ空きの地下鉄で一時間、ようやく落ち着いてガイドブックなどをじっくり読んでみた。
ホテルで貰った地図や情報も突き合わせて、そうかなるほど「夜市」なるものに行ってみようかな、と思い立つ。夜市というくらいだから、十時くらいまでに行けばなんとか端っこは覗けるはず。
地図をざっくり目測すると、台北駅から20分くらい歩けば、寧夏夜市なるところに行けそうだ。
駅から徒歩圏内、ていうのがよろしい感じ。
で、台北の駅に着いて、とりあえず歩き出すが、駅からどっちに向って歩けばいいのかさっぱりわからない。
駅員さんに聞いてみたら
「えええ、歩いていく?!歩けないよムリムリムリ、一時間くらいはかかる」と。
いやいや、地図によるとそういうことはなさそうだが、まあ最悪行きつけなくてもイイヤ。途中の街を眺めればよかろう・・・とハイハイ生返事で方角だけ何とか聞き出し歩き始める。
ところで台北の地下鉄駅の駅員さんたちは英語が上手い。感心した。日本じゃこうは行かないと思う。
あと、徒歩20分程度の場所に行こうとして道を聞いたら「ムリムリ!一時間かかる!」ていうのは、実はこの後さらに数回あった。一般台北市民は、どうもあんまり歩かない人たちみたい。
いやまあ例えば横浜で言えば、桜木町の駅前で中華街までの道を聞かれた場合、というのをイメージすると、確かに常識的には「タクシーで行けば」「バスはそこから・・・」「地下鉄は・・・」などなどという反応が正しいのかもしれないが・・・
歩けよみんな!徒歩移動は人類の基本だぞっ!!
台北の駅から大きな通り沿いは、夜だけに人気はそう多くないものの、ところどころイイ匂いの路面店が営業中。なるほど、夜は遅い街らしい。そのままスタスタと入って座りたい衝動に駆られるが「まず夜市!」と己を押しとどめつつ、指をくわえて歩く。くうん、ヤダなんかすっごいオイシソウなものが、ホラそこにもあそこにも…。
機内食をかなりセーブしたので、実はけっこう空腹なのだ。もう夜市はいいから、ここで何か食べていこうヨ、と食煩悩が囁き続けるなか「ここで妥協すると後でもっとウマイもんが出てきたときに後悔するぞっ!」と毅然と頭をもたげる我が理性@どっちにせよ食欲ベース。
しかし空腹は募る。ちらほら見える路面店の灯りにどうも抗いきれなくなってきた頃、忽然と辺りの明度が上がり、夜市に到着。
ををを、これはステキだぞ!
営業終了の気配など微塵もなく、人でごった返しながらウマソーなものがあらゆるところで湯気を立てている。
後で聞いた話だが、夜市は市内外に数多あれど、食いもんにかけては圧倒的に寧夏夜市なのだそうだ。
何故かこういう勘だけはミョーに当たる。
自分で自分の嗅覚を褒めてやりたい。
いやまあ、要するに事前にちゃんと情報収集すればイイってだけの話なのだが。
でもワタシの場合、土地勘もないままガイドブックの類を眺めていても何一つ頭に入ってこないのだ。こういう情報を整理する能力に欠陥がある上、素直じゃないのがイカンのかなあ。悲しいことだ。
ま、いいってことヨ、と一回りして、ガッツリ胃と心に刺さったのは

きゃー、ガチョウ肉!きゃー!!
特にこの一番左の「綜合下水」なるものに激しく心惹かれる。
しかしまあ、まずはオーソドックスに

鵞鳥麺を食べてみた。
スープは薄味だがコク深い。
何より大好きな中華系スープの味わい。
肉は意外と癖がない。
ウウウウウウウ、とか不気味なうなり声を上げながら、ふと我に返ったら骨をしゃぶっていた。
さあ次!
もうちょっと胃がスッキリするものを食べておいてもよろしかろう・・・
・・・ということで白苦瓜のスープ。こっちは排骨入りで、やっぱり一瞬の後に我に返ると、骨をズルズルしゃぶっている自分がいた。
青茶だの西瓜ジュースだのを片手に、湿度が垂れ込めるような夜気を楽しむ。
いやまあ、要するにかなり蒸し暑い上、そんな中で大汗をかきながら暑いスープを啜っているわけなんだけど、これはこれで実に楽しい。
ここで再び我に返ると、終電の時刻が迫っていたので慌てて帰路に就く。
実は帰りは二泊する算段になっているのだ。
今からもう楽しみでたまらないよう!
(ロンドンに行くために来たんじゃなかったのか??)
・・・と、祝盃上げる初日の夜だった。

つづく。たぶん。
いや、少なくともロンドンに着くところくらいまでは・・・。
台湾行きたい!と強烈に思わせてくれたのが、しばらく前に手にしたこの一冊。
とにかくひたすら美味しそうなシズル感あふれててオススメ♪
先ずはこんなホテルに・・・。

ナニコレ?
ロンドンなのに何故・・・?
いや、ナンダカンダと、台北経由なんですよな。
実はこの数年、これもまた行くぞ行くぞ!と言い続けていたのが台湾だったりしたのだけれど、ロンドン行きの航空券を買おうとしたら、な~んと最安値がエバー航空なる台湾の航空会社だったわけで。
をを、なんとこれは!と、一石二鳥を狙ったワタシである。
で、とりあえずこれが案外立派なホテルだが・・・

おわかりいただけるだろうか。
このホテル周辺には、まったく何もない、ということを。
茫漠とした野原のド真ん中に一軒ドーンと建っているのだ。
この写真は最寄りの地下鉄駅から撮ったんだけれど、徒歩五分とは言えけっこう怖いくらいの往復ではあった。
ホテルのフロントに聞いたら「ここをまっすぐ行ってね~!」と明るく送り出してくれたところを見ると、危険はないらしいが。要するにここは治安が良いのだな、と勝手に納得して前進した。
人間は大丈夫でも、意外に野犬がいたりするからなあ・・・とは思ったがいなかった。でもやっぱりちょびっと怖かったです。
翌朝は早朝発だったので、とりあえず空港近くでテキトーに取った宿で、たかだか一泊六千円位なのに、やけに御立派な部屋ではあった。桃園空港まではタクシーで500円位。近くて便利ではある。ローカルなチェーン系で、台北市内に複数展開しているみたい。
シティスイーツ桃園ゲートウェイ(城市商旅航空館)(CITY SUITES GATEWAY HOTEL)
ちなみに部屋はこんな感じ。

台北の空港はゲンナリするほど混んでおり、通関待ちがおよそ一時間強。
この間ずらっと並んで立って待つので、けっこうウンザリするが、文庫本を読み続けて凌ぐ。
中々胸に刺さる話だったので、通関待ちの列で号泣しそうになった。
ここで怪しまれて入国拒否なんぞされたらたまらんので、涙腺に気合で圧をかけ蓋をする。
スゲー顔になっていたはずだが、なんとか入国はできた。やれやれ。
(ちなみにこれは犬ものの傑作。本年度極私的第一位になる、かも?!)
さて、通関の思わぬ待ち時間のせいで、ホテル着は夜もいい加減遅かったのだが、とにかく町の匂いだけでも嗅いでいきたい。
フロントに市内中心部にはどうやって行けばいいの、と尋ねると、なんと地下鉄で一時間かかるヨ、とのお返事である。
えーー!一時間!!
成田並みだろうがそれは!!!
聞けば最近できたばかりの空港だ、との由。
あ、そうなんだ・・・。
しかしまあ、ホテルにいてもしょうがない(正しい判断だったことが歩き出してすぐにわかった)。麺粥の一杯なりとも、口にできることを期待して、誰もいない駅から地下鉄に乗る。
ガラ空きの地下鉄で一時間、ようやく落ち着いてガイドブックなどをじっくり読んでみた。
ホテルで貰った地図や情報も突き合わせて、そうかなるほど「夜市」なるものに行ってみようかな、と思い立つ。夜市というくらいだから、十時くらいまでに行けばなんとか端っこは覗けるはず。
地図をざっくり目測すると、台北駅から20分くらい歩けば、寧夏夜市なるところに行けそうだ。
駅から徒歩圏内、ていうのがよろしい感じ。
で、台北の駅に着いて、とりあえず歩き出すが、駅からどっちに向って歩けばいいのかさっぱりわからない。
駅員さんに聞いてみたら
「えええ、歩いていく?!歩けないよムリムリムリ、一時間くらいはかかる」と。
いやいや、地図によるとそういうことはなさそうだが、まあ最悪行きつけなくてもイイヤ。途中の街を眺めればよかろう・・・とハイハイ生返事で方角だけ何とか聞き出し歩き始める。
ところで台北の地下鉄駅の駅員さんたちは英語が上手い。感心した。日本じゃこうは行かないと思う。
あと、徒歩20分程度の場所に行こうとして道を聞いたら「ムリムリ!一時間かかる!」ていうのは、実はこの後さらに数回あった。一般台北市民は、どうもあんまり歩かない人たちみたい。
いやまあ例えば横浜で言えば、桜木町の駅前で中華街までの道を聞かれた場合、というのをイメージすると、確かに常識的には「タクシーで行けば」「バスはそこから・・・」「地下鉄は・・・」などなどという反応が正しいのかもしれないが・・・
歩けよみんな!徒歩移動は人類の基本だぞっ!!
台北の駅から大きな通り沿いは、夜だけに人気はそう多くないものの、ところどころイイ匂いの路面店が営業中。なるほど、夜は遅い街らしい。そのままスタスタと入って座りたい衝動に駆られるが「まず夜市!」と己を押しとどめつつ、指をくわえて歩く。くうん、ヤダなんかすっごいオイシソウなものが、ホラそこにもあそこにも…。
機内食をかなりセーブしたので、実はけっこう空腹なのだ。もう夜市はいいから、ここで何か食べていこうヨ、と食煩悩が囁き続けるなか「ここで妥協すると後でもっとウマイもんが出てきたときに後悔するぞっ!」と毅然と頭をもたげる我が理性@どっちにせよ食欲ベース。
しかし空腹は募る。ちらほら見える路面店の灯りにどうも抗いきれなくなってきた頃、忽然と辺りの明度が上がり、夜市に到着。

営業終了の気配など微塵もなく、人でごった返しながらウマソーなものがあらゆるところで湯気を立てている。
後で聞いた話だが、夜市は市内外に数多あれど、食いもんにかけては圧倒的に寧夏夜市なのだそうだ。
何故かこういう勘だけはミョーに当たる。
自分で自分の嗅覚を褒めてやりたい。
いやまあ、要するに事前にちゃんと情報収集すればイイってだけの話なのだが。
でもワタシの場合、土地勘もないままガイドブックの類を眺めていても何一つ頭に入ってこないのだ。こういう情報を整理する能力に欠陥がある上、素直じゃないのがイカンのかなあ。悲しいことだ。
ま、いいってことヨ、と一回りして、ガッツリ胃と心に刺さったのは

きゃー、ガチョウ肉!きゃー!!
特にこの一番左の「綜合下水」なるものに激しく心惹かれる。
しかしまあ、まずはオーソドックスに

鵞鳥麺を食べてみた。
スープは薄味だがコク深い。
何より大好きな中華系スープの味わい。
肉は意外と癖がない。
ウウウウウウウ、とか不気味なうなり声を上げながら、ふと我に返ったら骨をしゃぶっていた。
さあ次!
もうちょっと胃がスッキリするものを食べておいてもよろしかろう・・・

・・・ということで白苦瓜のスープ。こっちは排骨入りで、やっぱり一瞬の後に我に返ると、骨をズルズルしゃぶっている自分がいた。
青茶だの西瓜ジュースだのを片手に、湿度が垂れ込めるような夜気を楽しむ。
いやまあ、要するにかなり蒸し暑い上、そんな中で大汗をかきながら暑いスープを啜っているわけなんだけど、これはこれで実に楽しい。
ここで再び我に返ると、終電の時刻が迫っていたので慌てて帰路に就く。
実は帰りは二泊する算段になっているのだ。
今からもう楽しみでたまらないよう!
(ロンドンに行くために来たんじゃなかったのか??)
・・・と、祝盃上げる初日の夜だった。

つづく。たぶん。
いや、少なくともロンドンに着くところくらいまでは・・・。
台湾行きたい!と強烈に思わせてくれたのが、しばらく前に手にしたこの一冊。
とにかくひたすら美味しそうなシズル感あふれててオススメ♪
September 15, 2017
ロンドンうろちょろ徘徊記 其の一 〜準備編(?)~
八月、ロンドンに行ってきた。
ワタシにしてはかなり計画的に、まずは「行くぞ行くぞ行くんだぞ」と、周囲一帯に大声で宣言するところから始めたのが、たしか春先くらいのこと。
そうでもしないと面倒くさくなって「やっぱりヤメタ」になるのが目に見えているからだ。
最近は本当にフットワークが重くなった。
実は元々無精でぐうたらで計画性ゼロなので、休みに都内に行くのも遠征気分なワタシ。
「仕事」という強制力がかかると、ゼンマイ式玩具のごとくカタカタ起動して無理やり出ては行くのだが、そうでもなければ家の近辺でグダグダと過ごしてしまう。
別にこれは今に始まったことではなくて、若いころから自宅周辺でグダグダするのが好きなのではある。
たまに強烈な食煩悩に駆られてどこぞかに突撃していくこともあるけれど、横浜の場合ありがたくも大半が自宅から徒歩圏内で片付く。片付かないのはざっと考えて、たぶん鰻くらいのものだと思う。
とりあえず食環境には恵まれた街なのだ、横浜は。
それをいいことに、最近は仕事以外はまったくもって内弁慶な生活となっていた。
ワタシの場合、海外に十年ばかり住んでいたころの諸々をネタにして、流れ流れてどうにかこうにか食ってきたわけだけれど、ハッと気づけばもうそんなの、ざっくり二十年近く前の話になっているではないか。
これには我ながら驚いた。
なにぃ、二十年だと??!!
いや、まだそこまでは・・・イヤイヤしかし、帰国したのが前世紀の終わりごろなんだから、オリンピックで20周年ですわいよ。ひええええ。
中年期を驀進して老年に向っている、そのこと自体は軽いタメイキとともに達観してしまえる。
フツーだろそれ、と思う。
シミシワ白髪がナンボのもんじゃ、と開き直りつつ、脂肪の蓄積にはちょびっと注意している位なもんだ。
しかしふと気が付いたら、海外がどうにも遠いものとなっていて、そこは我ながらちょっと愕然とした。
なにしろ2007年にパスポートを更新して以来、日本の外に出たのは香港マカオ一回と、あとはプーケット&バンコクに行っただけ。それだけ。
元々は観光業関係者だったので、そういう話もたまにメシの種にしている身としては、これはイカンよね・・・と切れかけたパスポートを眺めながら猛省していたわけだ。
もう一つある。
ワタシはなんだかんだと結局のところ、英語をメシの種にしているのだが、実は現実の英語圏とはびっくりするほど縁が薄いのだ。
ロンドンには17歳の時、ケニヤに向かう飛行機が降りた時に半日寄った。それからエジプトにいた当時、仕事の日本出張がロンドン経由でついでに二泊したこともある(中一日で大英博物館の古代エジプト館を覗いた他は、パブを三軒はしごして終わった)。イギリスはそれだけ。
アメリカなんて、小学生の時に親に連れられてLAの親戚の家に遊びに行っただけ、ときた。
ええと、南アフリカも英語圏にカウントしてよければ、結婚してから十日くらい遊びに行ったな。
でも本当に以上そこまで。
かつて一番長く住んでいたエジプトという国が、とにかく食事情も酒事情もイマイチな場所だったので、休みにどこか行こうとなると、毎度ついつい食煩悩に目が眩んでいたのがそもそもイカン。そういうワタシが、メシの不味さをもって世界に名を馳せているイギリスに、わざわざ貴重な休みを使って出かけていくはずはない。だからほぼマトモに行こうとすら思わぬうちに、アレレと十年経って日本に戻ってきてしまった。
第一そもそも本来英語なんて、通じて仕事が成立すればそれでいいぞ、と思っていたし、幸か不幸かナンダカンダとそれで仕事になっていたもんだから、わざわざ自己研鑽の為に英語圏に出直そうなどという殊勝な心掛けもないまま中年期に突入。
そしてそんな中、ある時ちょっとした行きがかりで「英語を教える」という岸に流れ着いてしまった。その辺を辛うじて溺れない程度にヘロヘロ泳ぎ回って十年近くが経過。中年過ぎると本当に、十年なんてあっという間だ。
で、教壇の向こう側に押し流されたころ、英語の発音を説明しながら我ながら驚いた。ワタシは英語の発音のメカニズムをまったくわかっていなかったのだ。まあ、まともに学んだこともないのだから、わかってもいるはずもないのは自明だが、案外こういうことは追い詰められてみないとわからない。
さて、自分の発音だけならば、笑われていればネタで済むけれど、人に教えるとなるとそうもいかない。そこだけパスして次、というのも無理がある。ヤレヤレ困った、と自分なりに四苦八苦して泥縄式に遣り繰りしては来たが、こればかりはどこかでブートキャンプ式にガツガツ叩き込んでもらわないとイカンね、と思うに至って数年。
ある時、英語音声学を主戦場とする親切な同僚に、コッソリその辺を打ち明けたところ「あ、ありますよ、そういうコース。ロンドンで夏休みにやってます」と。
ではそれに参加しましょう、そうしましょう。
とか何とか言いながら、あっさりと数年が経過。
マズイ、このままではまた繰り延べを繰り返して無駄に齢を重ねるだけだ。
だからまずは、年が明けて春の気配も高まる中で「行くぞ」と周囲に大声で宣言したわけだ。
そしてコースの受付が春先に始まった段階で、申し込み書提出を強行。
ついでにさっさと授業料も払って、一緒に滞在先の寮の申し込みまでやっつけて、早いに越したことはないというから航空券も押さえてしまった。
さあもう後戻りはできないぞ、というところで、念には念を入れて
「ワタシ、夏休みにロンドン行くんだ♪」と語りまくった。
酔っていようがいなかろうが。
そんなこんなでせっかく強行した久々の海外生活。
勿体ないから一応まとめておこうと思う。
つづく。たぶん。
先ずこれは買っていった。
で、そこそこお世話になった。
これも一応買っていったが、肝心の旅行先がまともに決められていなかったので、結局イマイチ役に立たず終わった(悪いのはワタシです)。
ま、参考資料としてはよろしいのかなと思います。
ワタシにしてはかなり計画的に、まずは「行くぞ行くぞ行くんだぞ」と、周囲一帯に大声で宣言するところから始めたのが、たしか春先くらいのこと。
そうでもしないと面倒くさくなって「やっぱりヤメタ」になるのが目に見えているからだ。
最近は本当にフットワークが重くなった。
実は元々無精でぐうたらで計画性ゼロなので、休みに都内に行くのも遠征気分なワタシ。
「仕事」という強制力がかかると、ゼンマイ式玩具のごとくカタカタ起動して無理やり出ては行くのだが、そうでもなければ家の近辺でグダグダと過ごしてしまう。
別にこれは今に始まったことではなくて、若いころから自宅周辺でグダグダするのが好きなのではある。
たまに強烈な食煩悩に駆られてどこぞかに突撃していくこともあるけれど、横浜の場合ありがたくも大半が自宅から徒歩圏内で片付く。片付かないのはざっと考えて、たぶん鰻くらいのものだと思う。
とりあえず食環境には恵まれた街なのだ、横浜は。
それをいいことに、最近は仕事以外はまったくもって内弁慶な生活となっていた。
ワタシの場合、海外に十年ばかり住んでいたころの諸々をネタにして、流れ流れてどうにかこうにか食ってきたわけだけれど、ハッと気づけばもうそんなの、ざっくり二十年近く前の話になっているではないか。
これには我ながら驚いた。
なにぃ、二十年だと??!!
いや、まだそこまでは・・・イヤイヤしかし、帰国したのが前世紀の終わりごろなんだから、オリンピックで20周年ですわいよ。ひええええ。
中年期を驀進して老年に向っている、そのこと自体は軽いタメイキとともに達観してしまえる。
フツーだろそれ、と思う。
シミシワ白髪がナンボのもんじゃ、と開き直りつつ、脂肪の蓄積にはちょびっと注意している位なもんだ。
しかしふと気が付いたら、海外がどうにも遠いものとなっていて、そこは我ながらちょっと愕然とした。
なにしろ2007年にパスポートを更新して以来、日本の外に出たのは香港マカオ一回と、あとはプーケット&バンコクに行っただけ。それだけ。
元々は観光業関係者だったので、そういう話もたまにメシの種にしている身としては、これはイカンよね・・・と切れかけたパスポートを眺めながら猛省していたわけだ。
もう一つある。
ワタシはなんだかんだと結局のところ、英語をメシの種にしているのだが、実は現実の英語圏とはびっくりするほど縁が薄いのだ。
ロンドンには17歳の時、ケニヤに向かう飛行機が降りた時に半日寄った。それからエジプトにいた当時、仕事の日本出張がロンドン経由でついでに二泊したこともある(中一日で大英博物館の古代エジプト館を覗いた他は、パブを三軒はしごして終わった)。イギリスはそれだけ。
アメリカなんて、小学生の時に親に連れられてLAの親戚の家に遊びに行っただけ、ときた。
ええと、南アフリカも英語圏にカウントしてよければ、結婚してから十日くらい遊びに行ったな。
でも本当に以上そこまで。
かつて一番長く住んでいたエジプトという国が、とにかく食事情も酒事情もイマイチな場所だったので、休みにどこか行こうとなると、毎度ついつい食煩悩に目が眩んでいたのがそもそもイカン。そういうワタシが、メシの不味さをもって世界に名を馳せているイギリスに、わざわざ貴重な休みを使って出かけていくはずはない。だからほぼマトモに行こうとすら思わぬうちに、アレレと十年経って日本に戻ってきてしまった。
第一そもそも本来英語なんて、通じて仕事が成立すればそれでいいぞ、と思っていたし、幸か不幸かナンダカンダとそれで仕事になっていたもんだから、わざわざ自己研鑽の為に英語圏に出直そうなどという殊勝な心掛けもないまま中年期に突入。
そしてそんな中、ある時ちょっとした行きがかりで「英語を教える」という岸に流れ着いてしまった。その辺を辛うじて溺れない程度にヘロヘロ泳ぎ回って十年近くが経過。中年過ぎると本当に、十年なんてあっという間だ。
で、教壇の向こう側に押し流されたころ、英語の発音を説明しながら我ながら驚いた。ワタシは英語の発音のメカニズムをまったくわかっていなかったのだ。まあ、まともに学んだこともないのだから、わかってもいるはずもないのは自明だが、案外こういうことは追い詰められてみないとわからない。
さて、自分の発音だけならば、笑われていればネタで済むけれど、人に教えるとなるとそうもいかない。そこだけパスして次、というのも無理がある。ヤレヤレ困った、と自分なりに四苦八苦して泥縄式に遣り繰りしては来たが、こればかりはどこかでブートキャンプ式にガツガツ叩き込んでもらわないとイカンね、と思うに至って数年。
ある時、英語音声学を主戦場とする親切な同僚に、コッソリその辺を打ち明けたところ「あ、ありますよ、そういうコース。ロンドンで夏休みにやってます」と。
ではそれに参加しましょう、そうしましょう。
とか何とか言いながら、あっさりと数年が経過。
マズイ、このままではまた繰り延べを繰り返して無駄に齢を重ねるだけだ。
だからまずは、年が明けて春の気配も高まる中で「行くぞ」と周囲に大声で宣言したわけだ。
そしてコースの受付が春先に始まった段階で、申し込み書提出を強行。
ついでにさっさと授業料も払って、一緒に滞在先の寮の申し込みまでやっつけて、早いに越したことはないというから航空券も押さえてしまった。
さあもう後戻りはできないぞ、というところで、念には念を入れて
「ワタシ、夏休みにロンドン行くんだ♪」と語りまくった。
酔っていようがいなかろうが。
そんなこんなでせっかく強行した久々の海外生活。
勿体ないから一応まとめておこうと思う。
つづく。たぶん。
先ずこれは買っていった。
で、そこそこお世話になった。
これも一応買っていったが、肝心の旅行先がまともに決められていなかったので、結局イマイチ役に立たず終わった(悪いのはワタシです)。
ま、参考資料としてはよろしいのかなと思います。